自社内でクリエイターを育て、西海岸らしい明快さでソウル・シーンに新風を吹き込んだソーラー。そのサウンドの基盤を作った人物と言えば、まず挙げられるのがリオン・シルヴァーズだろう。突進力と洗練を併せ持ったサウンドを弾き出す彼のプロデュース・マナーこそが〈ソーラー・サウンド〉として認知され、多くのアーティストがその恩恵を受けた。その後、同社に所属したグループのメンバーもクリエイターとして才能を発揮しはじめ、レイクサイドのオーティス・ストークスらはクライマックスなどの作品でシャープなファンクを提供。一方、ミッドナイト・スターのレジー・キャロウェイは80'sらしいシンセ・ファンク・サウンドを築いて社外でも売れっ子になる。そして、こうしたソーラー的エッセンスを抽出して、そこに甘美な旋律を注ぎ込んだのがディールのLA・リード&ベイビーフェイスで、彼らの社外ワークスとなるボビー・ブラウン『Don't Be Cruel』などではコラージュの面々も演奏……というように、いま思えばソーラーの職人たちは、80年代R&Bの道を開拓して90年代R&Bへの橋渡しの役目も担っていた影の功労者だったのだ。