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第22回 ─ 甦るスタックスの遺産(その1)

ロック界に愛されたスタックス・サウンド

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2007/05/02   18:00
ソース
『bounce』 286号(2007/4/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

 他のソウル・レーベルに比べて60年代のスタックスがいまも各界で特別視されるのは、やはりロック・ミュージシャンによる再評価ゆえだろう。ローリング・ストーンズはもちろん、ブルース・スプリングスティーンからブラック・クロウズに至るまで、US南部の音を掘り下げる者の多くはスタックス・ナンバーを取り上げている。一方でMG'sのスティーヴ・クロッパーはジェフ・ベック・グループらの、ブッカーTはウィリー・ネルソンらのアルバムをそれぞれ手掛けているし、MG'sはボブ・ディランの30周年コンサートやニール・ヤングのアルバムでバックを担ったこともある。日本勢では、70年代初頭にテンプターズが『THE TEMPTERS IN MEMPHIS』をメンフィス・ホーンズと録音しているが、著名なのは92年にMG'sと『Memphis』を作り上げた忌野清志郎だろう。彼がクロッパーと共同制作した近作『夢助』にはズバリ“オーティスが教えてくれた”なる楽曲もあった。やはりスタックスはスペシャルだ。
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