THE MAR-KEYS 『The Platinum Collection』 Atlantic
エステル・アクストンの息子チャールズを擁した、初期スタックスのハウス・バンドとして知られるマーキーズ。後にMG'sを結成するメンバーも出入りしたこのバンドは、ホーン入りの泥臭くソリッドな演奏が特徴で、白人中心ながらも黒いグルーヴを放った。この編集盤には、スタックス・サウンドの礎となった“Last Night”をはじめ、当時らしいダンス・ビートを基調にしたインスト曲がズラリと並ぶ。
(林)
RUBY JOHNSON 『I'll Run Your Hurt Away』 Ace
60年代初頭からワシントンDCで活動し、アル・ベルの招きでスタックス入りした女性。大柄な体つきの如く〈ビッグ・ママ〉的な貫禄のある歌声を放つシンガーで、デヴィッド・ポーター&アイザック・ヘイズ作のバラード“I'll Run Your Hurt Away”(66年)などを情熱的に歌い上げている。ほとんど無名の存在だが、ベンE・キング曲のカヴァーを含むこの編集盤で、その熱い歌声に聴き入りたい。
(林)
RUFUS THOMAS 『The Platinum Collection』 Atlantic
同じメンフィスのサンから53年に“Bear Cat”をヒットさせていたロックンロール~リズム&ブルース歌手で、JBやエルヴィスの先達とも言える。1917年生まれだから遅咲きではあるものの、サテライト~スタックスと契約後は“Walking The Dog”や“Chicken Scratch”など動物ネタのファンキーなノヴェルティー・ヒットを連発した。敬意を込めて〈芸人〉と呼びたくなる、愛すべき巨人ぶりはこの最新ベスト盤でどうぞ。
(出嶌)
SAM & DAVE 『Soul Men』 Stax/Atlantic/ワーナー(1967)
本連載のアトランティックの回で『Double Dynamite』を紹介したが、それに続いたのがこのスタックスでの最終作。ダイナマイトな歌いっぷりはいくつかのバラードでも快調だし、ファイヴ・ロイヤルズ“I'm With You”のブルース解釈も格好いい。まあ、“Hold On, I'm Comin'”系の堂々たるジャンプ・ナンバーに仕上がった表題曲(後にルー・リードもうっかりカヴァー)の無敵ぶりは別格の格好良さなんだが。
(出嶌)
WILLIAM BELL 『The Soul Of A Bell』 Stax/Atlantic(1967)
オーティスより先にスタックスのスターとして活躍したウィリアム・ベル。途中で徴兵されたために数年の空白があったが、除隊後に出したこの初アルバムでは、61年のヒット“You Don't Miss Your Water”の再録も含め、相変わらずまろやかで品の良いウィリアム節を聴かせてくれている。語りかけるようなスロウ・バラード“Everybody Loves A Winner”など、ウィリアム自身のソングライティング・センスにも感服。
(林)
VARIOUS ARTISTS 『Stay In School』 Stax/ビクター(1967)
そもそもは時の労務長官からの要請で生まれた教育キャンペーン用の非売品で、青少年に〈学校をドロップアウトしちゃダメ!〉とメッセージするコンピ。スターたちがそれぞれ教育の大切さを喋っては楽曲を披露する(アコギに乗せたラップのようなオーティスのコメントが興味深い)。いかにスタックスの影響力が甚大だったかを物語る珍品、なれどサム&デイヴの“My Reason For Living”はここでしか聴けないので要注意!
(出嶌)