耳を貸すべき多彩なアルバムが次々に到着!
世間には記号としての〈ウェッサイ〉を弄したような作品もあって玉石混淆ながら、ここで紹介するのはどれもバッチリですよ。まずはS567や10FOR EFDEEの活動も順調なDESTINOが、久々のソロ作『Ride or Die』でメジャー参戦。人間味に溢れた無骨な語り口は健在で、KNOCKらのハイブリッドなトラックも好調だ。ただ、DAI-KEY製の直球Gファンク“WE CAN'T STOP”はやはり最高! で、そこにも参加したFUEKISS!!の属するNORAからは、GIPPERがソロ作『GIP' FILE』を発表。軟派なキャラを全開にしつつ、MUMMY-Dにも通じる丁寧なフロウでしっかり聴かせるあたりは長いキャリアの賜物だろう。さらに、DIX-Tが2枚目のEP『PRELUDE』を発表。トラップからメロウ系まで多彩なonodubらのビートに、SEEDA以降の世代らしい柔軟なシンギン・フロウが映える。ここにもFUEKISS!!の名前はあるが、以上3作すべてにMoNa a.k.a. SAD GIRLが招かれているのも何か凄い。
最後は総本山HOOD SOUNDからの2枚。まずはS.T.M.のKOZによるソロ・デビュー作『THE ONE WAY』で、こちらはDJ PMXの総合プロデュースでMACCHOらも参加した王道のウェッサイ・マナーが抜群に格好良い出来! もう一方のCRAY-G『HOWL TO SOUL』はよりモダンでメロディアスに仕上げられている。そんなわけで、まとめて紹介するのが申し訳ないほど、一口に〈ウェッサイ〉と括ってもその内実は多様化している……という話でした。
▼文中に登場した作品を紹介。
左から、DESTINO『Ride or Die』(徳間ジャパン)、GIPPER『GIP' FILE』、DIX-T『Prelude』(共にKSR)、KOZ『THE ONE WAY』(HOOD SOUND/plusGROUND)、CRAY-G『HOWL TO SOUL』(HOOD SOUND/Village Again)