ロックを知る前の人のきっかけになれたら嬉しい
バンド名の由来は、彼らの出身地から想像できるそのまんま。大分は別府からやって来た若き4人組は、まさに温泉の如く湧き出る熱いパッションで、70sタイプのヴィンテージ・ロックを嬉々として奏でる純粋な奴らだ。ヴォーカル/ギターのイノクチタカヒロの理想は「72年のストーンズ」だという。なるほど。
「ピンときたのがそのへんなので、いまだにずっと聴いてます。ストーンズ、ラモーンズ、クラッシュ、ザ・フー、日本だとルースターズやRCサクセションとか。メンバーも似たようなのばっかり聴いてるんで、オリジナルも自然とそういうふうになるっていう」(イノクチ、以下同)。
とはいえ、中心メンバーが22~23歳のバンドが出す音がいきなりレトロな音色を帯びるはずもなく、新世代のロックとして自然にヴァージョンアップしてしまっているのがおもしろいところ。ストーンズ風のオーソドックスなリフを使って溌剌としたガレージ感たっぷりの演奏が光る表題曲から始まるEP『ダニエルとメロディ』には、バンドの可能性の大きさがしっかりと凝縮されている。喉にディストーションを埋め込んだように強力なパワーを放つ歌も素晴らしい。
「一発録りで歌もいっしょに録ってあっという間に終わりました。OKラインはみんながカッコイイと思えるかどうか。それがなかったらダメで、それがあれば逆に何でもありって感じ」。
ガツガツとアップテンポの8ビートを刻む“45回転”、シンプルなブルースのコード進行に乗せてフリーキーなギターが吠えるインスト“Night has come”、ライヴ映えしそうな“いかすぜ今夜”。古典的な手法が突然新しいものへとひっくり返る、ロックの歴史に何度もあった不思議な魔法の欠片を、彼らもまた手にしている。この秋には拠点を東京に移すとのことで、今後は各地でもっとライヴを観ることができるだろう。
「中学生ぐらいの人に聴いてほしいですね。ロック好きな人に聴いてもらうのも嬉しいんですけど、ロックを知る前の人にも聴いてほしい。きっかけになれたら嬉しいんで」。