アーバン方面への進出以来、良作を連発している老舗のインディー・レーベル——その上質な世界をお届けしよう
カルヴァン・リチャードソンやメイザが良作を連発し、キキ・ワイアットやリーラ・ジェイムズも作品を残しているシャナキーの動きに、最近注目しているというR&B好きは多いと思う。まるで元メジャー・アクトたちの安息の地だ。数年前はもっとアダルトな顔ぶれが目立っていたが、世代がずいぶん下がってきているのは、オーセンティックなR&Bにとっていかに現在のメジャーが生きにくいかを示すものかもしれない。
ともかく。近年のシャナキーはキム・ウォーターズやエヴァレット・ハープといったスムース・ジャズ系に集中している印象ながら、75年の設立当初はケルト音楽専門のインディー・レーベルだった(日本で人気のソーラスもUS盤はシャナキー発)。その後はブルースなどUSのルーツ音楽も扱いはじめ、やがてはいわゆる〈ワールド・ミュージック〉全般へと手を広げて現在に至る。これまでにもセザリア・エヴォラやカルリーニョス・ブラウン、サリフ・ケイタ、オーガスタス・パブロなど、錚々たる面々がシャナキーからUS盤を出してきた。意外なところではDJスピナやスウィング・アウト・シスターもラインナップされていたり、近年はイヴリン・タレンタイン・エイジーのようなゴスペルも増えていたり、幅の広さだけ見てもとんでもないレヴェルじゃないか。
シャナキーという言葉はアイリッシュで〈ストーリーテラー〉を意味するという。このレーベルには上記したようにさまざまな物語が用意されているわけだが、今回はそのアーバン・サイドを語っていくとしよう。
▼関連盤を紹介。
左から、キム・ウォーターズの2010年作『Love Stories』、ソーラスの2005年作『Waiting For An Echo』、スウィング・アウト・シスターの2008年作『Beautiful Mess』、イヴリン・タレンタイン・エイジーのニュー・アルバム『There's Gonna Be A Meeting』(すべてShanachie)