さて、まだ生まれて間もないこの潮流ですが、早くも新展開/拡大の兆しが見えています。まず注目したいのがリミックス・ワークで、特にコールド・ケイヴやミステリー・ジェッツを手掛けるデロレアンと、イェーセイヤーやクリスタル・キャッスルズを手掛けるメモリー・テープスに依頼が殺到している模様。特に後者は、マイケル・ジャクソン関連の仕事も舞い込んできた……なんて噂もあるほどで、今年はメインストリームとの交流が深まりそうな気配です。
そしてMJの件より驚かされるのが、もう新しいジャンルが派生していることでしょう。それがセーラムやバラム・アカブを筆頭とする、ウィッチ・ハウス(別名ドラッグ/ホーンテッド・ハウス)と呼ばれている動き。ドリーミーなサイケ感を本道から継承しつつ、ユニット名やヴィジュアルはもちろん、不気味な音使いによるゴシック&ホラー・テイストを演出したドロドロの世界観が特色。おもしろい点はヒップホップやダブステップの影響をちらつかせているところで、クラブ・シーンからも注目を集めています。この新たな流れは、マウント・キンビーやジェイムズ・ブレイクなど、ダブステップの新機軸を担うアーティストたちの音楽性ともリンクする部分があり、細かく枝分かれしていったサブジャンルが合流しようとする動きも見逃せません。
▼関連盤を紹介。
左から、ミステリー・ジェッツの2010年作『Serotonin』(Rough Trade)、マイケル・ジャクソンの2010年作『Michael』(Epic)、セーラムの2010年作『King Night』(Iamsound)、マウント・キンビーの2010年作『Crooks & Lovers』(Hot Flush)