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felicity

ディスクガイド(1)

連載
Discographic
公開
2011/08/10   18:00
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/出嶌考次

 

CITRUS 『Pits Are The Pits (25 GOLD=RARE=DEBRIS 1992-2000)』(2009)

江森丈晃と遠藤倫子を中心に結成され、90年代半ばからはトラットリアにも音源を残したギター・ひねくれ・ポップ・バンドの、解散から9年を経て届いたベスト盤。堂々たるポップネスを貫いた名曲揃いで、“Cymbal Hit!(Like My Feelin')”なんて、いつ聴いても恐ろしく瑞々しいんです。*出嶌

 

OLAibi 『tingaruda』(2009)

OOIOOやmeleで活躍するドラマー/パーカッショニストのソロ2作目。本人の操るジャンベやコンガ、トーキング・ドラムのアフリ感な響きに、ガムランや木琴、声などがどんどん交じってゆくポリリズミックな陶酔は異常。祝祭感覚とかいう安易な形容も不要なほどクソ楽しい傑作です。*出嶌

 

DRITT DRITTEL 『Lektion No.1』(2009)

コーネリアスのリミックス・アルバム『PM』への参加で脚光を浴びた黒木俊介のソロ・プロジェクト。ミレニウムの“Prelude”に始まり、次々にアングルを変えながら展開されていくザックリしたコラージュ感覚が絶妙に楽しい。いびつなポップセンスで満たされたユニークな佳作だ。*出嶌

 

カジヒデキ 『STRAWBERRIES AND CREAM』(2009)

レーベルの最古参アーティストであり、riddim saunterとの別掲作やMAGIC PARTYとのコラボなどにも野心的に取り組むヴェテランのソロ最新作がこちら。自虐的(?)にして痛快だった映画「デトロイト・メタル・シティ」への関与以降の絶好調ぶりは、渋谷系×タンバリン・スタジオ時代へのセルフ・オマージュとも取れた前作『LOLLIPOP』を経て本作でも大爆発。ヒダカトオルやSpangle call Lilli lineの大坪加奈、LOVE AND HATESらのゲストも交えつつ、自身が貫いてきたブレのないポップ道を邁進している。20年のキャリアを経てもなお〈カジくん〉という形容が似合う、永遠のブルーボーイの真骨頂だ。*出嶌

▼文中に登場した作品を紹介

カジヒデキの2008年作『LOLLIPOP』(felicity)

 

Struggle For Pride 『CUT YOUR THROAT.』(2009)

多方面から支持を集めるハードコア・バンドの現時点での最新作。NIPPSの口上を導入にした表題曲もいいが、KAHIMI KARIEを迎えたホークウインド“Silver Machine”のカヴァーは冬野さほのイラストを用いたジャケそのままの世界で最高。felicityのカタログでは異色にして至極真っ当だ。*出嶌

 

souluniques 『Free Soul In The Studio~Chill-Out Mellow Ensemble』(2009)

神田朋樹や堀江博久、小島大介ら、かつてFAVORITE MARINEやFREEDOM SUITEなどを推進した渋谷系のグルーヴァーたちによるプロジェクト。テリー・キャリアーやシリータなど〈Free Soul〉文脈の定番がメロウに再生される様子からは、90年代文化の正しい成熟と音楽愛が滲む。*出嶌

 

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