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ブレインフィーダー

MARTYN

連載
360°
公開
2011/08/18   14:56
更新
2011/08/18   16:57
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/入江亮平


レーベルメイトとはあきらかに違うものを聴いてきたよ



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オランダを拠点に、2562と早くからダブステップに潜むダンス・ミュージックの可能性、とりわけテクノやハウスとの親和性を掘り起こしてきたマーティンのセカンド・アルバムはフライング・ロータスのブレインフィーダーからリリースされる。LAの新世代ビート・シーンとヨーロッパのダブステップ・カルチャーの隆盛を意欲的に邂逅させてきたフライング・ロータスとはすぐに意気投合し、その後も蜜月関係を育んできた。

「共通の友人が僕の音源をフライング・ロータスに紹介してくれて、すぐ彼から連絡から来たんだ。すごく気に入ってくれたみたいで、リミックスを交換し合おうって話になった。その後、2008年の終わりに僕のファースト・アルバム『Great Lengths』が完成して、僕とコード9とハドソン・モホークがLAとサンフランシスコで行われたブレインフィーダーのイヴェントに招待されたんだ」。

自身もレーベルの経営者であるマーティンだが、新たな拠点に対しては「このレーベルはいわゆる〈LAビート・シーン〉ってやつから生まれたものだけど、いまでは計り知れないほど幅広いスタイルの作品をリリースしてる。そんな彼らの仲間になれることは僕にとってもすごくエキサイティングなことなんだ」と興奮を禁じ得ない様子。それと同時にビート・カルチャーを新たなサイケデリアへ導く諸作から最近ではオースティン・ペラルタやサンダーキャットの作品でジャズへの侵攻もはじめたレーベルの方向性をみずからの作品や音楽体験がさらに広げることにも自覚的なようだ。

「僕のバックグラウンドや受けてきた影響は、あきらかに他の所属アーティストとは異なってる。クラブやハウスを中心に、すごくオールド・スクールなヒップホップを少しと、ドラムンベース、2ステップを聴いて育ったし、そういうクラブに通ってた。そのほとんどはヨーロッパですごく流行っていたものだけど、USではそれほど知られていないからね」。

そして出来上がったニュー・アルバム『Ghost People』はホントに素晴らしい。前作の面影を引きずりながらも、外側へと開放されたエネルギーはまるでテクノ/ハウス黎明期の再来を予見するかのようだ。そこにフライング・ロータスから何か進言はあったのだろうか?

「〈自分の作りたいレコードを作ってくれ〉って以外の指示はなかったね」。
オーケー、ふたりの信頼関係が生んだこの傑作は、間違いなく2011年下半期にフロアとあなたを真っ向から直撃する。



▼マーティンの作品を一部紹介。
左から、2009年作『Great Lengths』(3024)、2010年のミックスCD『Fabric 50』(Fabric)

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