ザ50回転ズがでっちあげた(!?)ロックンロール3部作、ついにフィナーレ!
例えばラモーンズがビーチ・ボーイズで知られる“Do You Wanna Dance?”を取り上げたり、英国の子役女優マンディ・ミラーが歌った“Nellie The Elephant”をトイ・ドールズがちゃっかり持ち歌にしたり——ザ50回転ズはそんなユーモラスな温故知新の姿勢を確実に受け継いでいる。そして、その〈ロック愛〉をこれまで以上に茶化してデフォルメしたのが『ロックンロール・マジック』『ロックンロール世界旅行』、そして新作『ロックンロール・ラブレター』というこの1年半ほどの間に制作されたミニ・アルバム3部作。とはいえ、企画そのものは完全な後付けだったという。
「とりあえず(作品を)出させてもらえるだけでありがたい!みたいな気持ちでした。ミュージカル仕立てにしたらおもしろいんじゃないかとコンセプトをでっちあげて(笑)、最初の『ロックンロール・マジック』を作ったんです。この時点では3部作なんてまったく考えてなかった。ただ、前のレーベルをクビになったこともあってか、偶然にもこの3部作に合うような曲が出来たのは確かです。自分たちのルーツを改めて振り返っていた時期なのかもしれない」(ダニー、ギター/ヴォーカル)。
〈やっぱりロックンロールっていいな〉という気持ちが作らせた3部作だと、ダニー、ドリー(ベース/ヴォーカル)、ボギー(ドラムス/ヴォーカル)の3人は口を揃える。とりわけ最終章となる『ロックンロール・ラブレター』は、そんな彼らから自分たちのルーツへの精一杯の敬意を込めたラヴコールそのものだ。
「僕らはルーツがちゃんと感じられる音楽が好きなんですよ。自分たちもそうでありたい(ドリー)。
「俺らはチャック・ベリーもラモーンズもハウリン・ウルフもパイレーツもドクター・フィールグッドも好き。でも、それをあくまで茶化してしまう。そんな僕らの神髄を改めて見せられたんじゃないかと」(ダニー)。
「しかも、常に僕らはそれをおもしろいと感じている。何度同じ曲をライヴでやっても飽きないし楽しめる。そういう思いもこの3枚に出てるんじゃないかと思います」(ボギー)。
とはいえ、彼らのルーツとはあくまで80年代初頭付近まで。例えば90年代のグランジ〜オルタナ、2000年代のガレージ・ロック・リヴァイヴァルなどには関心がなかったのか。
テキ「そうなんです! 興味ないんです(笑)。なんか最近の音楽にはおふざけ、おトボケ感が足りないと思っていて。それじゃあつまらんだろうと。それを若い世代に伝えたい!みたいな使命感……はナイですけど、俺らがこういうコンセプト作を作ることで結果としてこういうロックンロールがあるというのを知ってもらえれば嬉しいですね」(ダニー)。
▼ザ50回転ズの作品を紹介。
左から、2007年作『50回転ズのビリビリ』、2008年のミニ・アルバム『レッツゴー3匹 !!』、2009年作『50回転ズのビックリ!!』(すべてワーナー)