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(第9回)2年目はどうなりますか?

LinQ 『Love in Qushu 〜LinQ 第一楽章〜』

連載
LinQにQつのQuestion!
公開
2012/04/25   18:00
更新
2012/04/25   18:00
テキスト
インタヴュー・文/ピ〜ス!久保田


ここからそこ、エリアからエリア。1年前に福岡で産声を上げ、濃すぎる365日を全力で走り抜けた彼女たちは、また駆け出しながら次の夢を見る。ハジメマシテの方にもそうでない方にも、この勢いがすべてにLinQするまで!



LinQ_A



九州の名物になりたい

「英才教育とかを受けて育ったわけじゃなくて、私たちホントに一般人なんですよ。そういう女の子たちがどこまでやれるかっていう、私たちの成長過程を見てほしいし……」(深瀬智聖)。

「地方からスタートして、いったいどこまでいけるんだろう?っていう、可能性だったり夢だったりも見せていけたらなあって。だからこそ、本拠地を福岡から東京に遷すんじゃなくて、福岡にいながらにして発信し続けるっていうスタイルは続けて……」(上原あさみ)。

「福岡〜九州の名物になって、LinQのステージを観るために遠くから来てくださった方が、福岡の美味しいものだったり観光地だったりも楽しんで帰っていただける──そうやって福岡の街や九州全体を盛り上げられる存在になりたいです」(一ノ瀬みく)。

精力的にステージをこなしながらファンとの絆を深めていく。若干の拙さはむしろファンとの親近感を縮めてくれるチャーム──って、アイドル・グループを形容する際には珍しくない言い回しではあるんだけど、13〜25歳のメンバーで構成された総勢33名から成るLinQというグループの特徴は、地元・福岡に根付いた活動を展開しながら、地元だけの盛り上がりに留めておくのはもったいないほどのハイクォリティーな楽曲を手にしていることだ。痛快なファンク・ビートとハーモニーワークが印象的な2011年のファースト・シングル“ハジメマシテ”を筆頭に、「アイドルの曲ってこんなにオシャレなの?って思いました」(奥村ゆい)とメンバーも舌を巻く楽曲のなかには、ケツメイシなどで知られるヒットメイカー、YANAGIMANが作曲を手掛けたものも含みつつ、その大半はH(eichi)、SHiNTAといった地元のクリエイターの手によって編まれたもの。奇天烈な展開や可愛らしさで物言わせる類とは一線を画す、ただただ胸を掴まれる曲ばかりなのだ。

「〈アイドル〉かつ〈アーティスティック〉かつ〈スタイリッシュ〉! 私はアーティストさん同士がコラボしてたりするのに憧れてて、LinQの曲を他のアーティストさんといっしょにパフォーマンスするっていう妄想を密かによくしてるんです(笑)。イメトレですね(笑)。その時に思うのが、SHiNTAさんとH(eichi)さんが作ってくださったLinQの曲って、歌うのはアイドルの方じゃなくても全然いいな、ってことです。〈100%アイドル!〉な曲というわけではなく、聴かせるところはかなり聴かせる、そこが〈スタイリッシュ〉だなって。 スタイリッシュだから、何回聴いても飽きない! たぶんお二人が曲に何か仕込んでるんです(笑)」(原直子)。

「単調ではない曲調、音域──H(eichi)先生やSHiNTAさんはいつも私たちに課題をくださるんです。LinQの曲は正直どの曲も、楽に歌えたり、簡単だって思うものはないですし、似ている曲もないんですよね」(上原)。

質の高い楽曲という最強の武器を持つアイドル──ということで、彼女たちの人気が地元福岡を越えていくのにさして時間はかからなかった。昨年11月にタワーレコードのアイドル専門レーベル、T-Paletteからリリースされたシングル“カロリーなんて”はオリコンのウィークリーチャートで22位を記録。続いて今年2月の『さくら果実/sakura物語』も同15位まで浮上!

「T-Paletteからリリースさせていただいたことで東京にも行くことができましたし、そこでたくさんの方にLinQのステージを観ていただいて、東京での盛り上がりが福岡にまで届いて、それで地元の公演に足を運んでくださる方も増えて。良いステップアップになりました!」(上原)。



始まった場所は変わらない

そしていよいよ、待ちに待った初めてのアルバム『Love in Qushu 〜LinQ 第一楽章〜』が到着だ。このアルバムは、彼女たちの数あるレパートリーのなかから、昨年4月17日に行われたデビュー公演のセットリスト通りの楽曲をセレクトしたもの。「オトナっぽい曲だったりアガる曲だったり、カワイイ歌だったり、いろんな色が出たアルバム」(杉本ゆさ)、「LinQに会いに行きたくなるアルバム」(秋山ありす)という全11曲は、イントロの“LinQ Theme”から“ハジメマシテ”へと雪崩れ込むスリリングなオープニングに始まり、ソウルフルなポップ・ナンバー“Let's Feel Together”、清涼感のなかにちょっぴりセンチメンタリズムを注いだサマー・チューン“夏Magic”、LinQにとっては異色なロック・ナンバー“Fighting Girl”、失恋にもめげない乙女心の逞しさを軽やかなダンス・ビートに乗せた“Pretty Woman”、“カロリーなんて”のカップリングにも収録されていたガールズ・ラップ・チューン“きもち”、ラヴリーなエレポップ“なう。”などなど。初回限定盤にはさらに、“さくら果実”“Sakura物語”に続く三部作完結編となる新曲で、LinQ初のバラード・ナンバー“桜を見上げて”が収録されていて……。

「ついにバラードきたーーー!って感じで、ちゃんと歌えるか心配でした(笑)。この曲にはメンバーほぼ全員の歌声が入っています。みんなでLinQの成長を思い返しながら歌いました。それぞれは大きく成長してきたけど、LinQの始まった場所は変わらない。〈スタートした時も桜が咲いてたな〉って。春になって桜を見ると初心を忘れてはいけないなって思えるような、LinQにとって大切な曲になりました」(深瀬)。

筆者はまだフルセットのステージを体験したことがないんですが、いやもう、まんまと〈会いに行きたく〉なりました。もう、〈こげん楽しくてよかっちゃろか〜〉ってなぐらいドキドキワクワクが止まらんのですよ、高木さん!

「やっぱり初めてのアルバムということでですね、私たちもドキドキです! ファンの皆さんから〈公演で聴いている曲をもっとCD化してよー!〉ってご意見をたくさんもらって、お家でも聴きたいって思ってくださるんだな〜っと思いました。それに、遠いところにお住まいの方はなかなか公演に来られなくて、良い曲でもあまり聴く機会がなかったと思うんです。でも、このアルバムでやっとですよ! やっと(笑)!!!」(高木悠未)。

「私たちは1年以上聴き続けてる曲ばかりなんですけど、ぜんぜん飽きないんですね。だから、たぶんこのアルバムは宇多田ヒカルさんのファースト・アルバムっぽい(笑)……というか、そんなふうになってほしいですね」(深瀬)。

たぶん、聴き続けてたら夢に出てきますよ(ニコニコ)。私たちがそうだったから(ニコニコ)」(天野なつ)。



▼LinQのシングルを紹介。

左から、2011年の“ハジメマシテ”(LinQ)、“カロリーなんて”、2012年の『さくら果実/Sakura物語』(共にT-Palette)