EDMの影響というのは、語り出したらキリがないんだ。一時間目でもう触れたように、そもそも現在の狭義のEDMが規定されるプロセスには、スターゲイトやレッドワンをはじめとする北欧のクリエイターたちがUSのメインストリーム作品に持ち込んできたEDMテイストが下地になっているわけだし、カイリーでもレディ・ガガでも誰でもいいけど、みんなその音楽性のなかに欧州の下世話なダンス・ミュージックを内包しているわけだから、これは相互に影響を与え合っていると言ったほうがいいかもしれない。そんなわけで、いま欧米の影響下にあるポップスを眺めてみると、その多くがEDMの影響下にあると捉えてもいいぐらいの状況なんだよね。ユーロ・スタイルをアメリカナイズすることに成功した先駆者としてリアーナとクリス・ブラウンはもちろんだし、ブリトニー・スピアーズも早くからド派手系にはコンシャスだったね。
で、そういったUS(アーバン・)ポップを意識している音楽なら、自然にユーロ〜EDMテイストも取り込んでいることになる。多くのK-Pop作品が刺激的なサウンドを以て評価されるのはそれゆえだし、東方神起やWONDER GIRLSはブロステップもやってたね。日本では海外ポップスに対応する人自体が少ないけど、三浦大知やw-inds.は以前からR&Bの作法としてEDMを受け止めてきた。また、Perfumeも最新シングルでは先述の〈アメリカナイズされたユーロ風味〉を踏まえていたよね。モーニング娘。も驚くほどEDMに対応しているし、日本でもこれから広がりそうだよ!
▼関連盤を紹介。
左から、リアーナの2010年作『Loud』(Def Jam)、クリス・ブラウンの2011年作『F.A.M.E.』、ブリトニー・スピアーズの2011年作『Femme Fatale』(共にRCA)、東方神起の2012年のシングル“ANDROID”(avex trax)、w-inds.の2012年作『MOVE LIKE THIS』(ポニーキャニオン)、Perfumeの2012年のシングル“Spending all my time”(ユニバーサル)、モーニング娘。のニュー・アルバム『⑬カラフルキャラクター』(zetima)