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第61回――歌うラリー・グラハム

ラリーにまつわるエトセトラ

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


ラリーとGCSがその後の音楽に与えた影響となると、もちろん革新的なファンク演奏者としての部分が主だったものになる。スライやPファンクがレッチリに参照されたように、GCSもバッド・ブレインズが“Hair”を取り上げていたり、ラリー個人も各界のベーシストたちから神格視されているのは言うまでもない。そんなわけで、GCSがリサイクルされる場合も、多くが定番の“The Jam”を筆頭とした数々のサンプリングだ。少し前だとミュージック“Romancipation”やブルー・スカラーズ、ホーカス・ポーカスらのネタ使いが印象的だったし、コモンも近作中の“Gold”で“The Jam”を使っていた。

そんなグルーヴ・リサイクル人気に対し、歌い手としてのラリーの功績はさほど顧みられていない。当時はアレサ・フランクリンのデュエット相手に招かれもした彼だが、90年代のファンク復古ブームに乗ってGCSが再浮上したことで、却ってそのブラコン的な歌唱の魅力は忘れられてしまったのか。それでもテディ・ペンダーグラスの優れたカヴァー“One In A Million You”などは一聴を薦めたい。

なお、ドレイクことオーブリー・グラハムの父親はラリーの兄弟だとされている。そう思えばあの眉毛の目立つ面構えも、朗々とした歌唱もどこか似ていないこともない? 



▼関連盤を紹介。
左から、ミュージックの2003年作『Soulstar』(Def Soul)、ホーカス・ポーカスの2010年作『16 Pieces』(Onandon)、コモンの2012年作『The Dreamer/The Believer』(Think Common/Warner Bros.)、アレサ・フランクリンの86年作『Aretha』(Arista)、テディ・ペンダーグラスの97年作『You And I』(Surefire)、ドレイクの2010年作『Thank Me Later』(Young Money/Cash Money/Universal)

 

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