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第12回――【今月のレポート盤】FLEETWOOD MAC 『Rumours: 35th Anniversary Edition』

連載
ろっくおん!
公開
2013/02/27   00:00
ソース
bounce 352号(2013年2月25日発行)
テキスト
構成/お好み焼き


ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の 研究に夢中なようですね!!



【今月のレポート盤】FLEETWOOD MAC 『Rumours: 35th Anniversary Edition』 Rhino/ワーナー

ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。冬休みを終えたと思ったら息つく間もなく春休みに突入しましたが、暇を持て余す〈ロッ研〉の連中は今日も何となく部室に集っているようですよ。

弘明寺素子「オハヨー! みんな元気?」

汐入まりあ「……あの〜モコ先輩、毎日お会いしてますけど、就活は!?」

弘明寺「大丈夫、秘策があるからね! ところで今日はこれを持ってきたよ」

戸部伝太「フリートウッド・マックの『Rumours: 35th Anniversary Edition』じゃないですか! 何ゆえモコ殿が!?」

弘明寺「えへへ。去年トリビュート盤が出たでしょ?」

汐入「ウォッシュト・アウトやベスト・コーストが参加していた作品ですね!」

戸部「制作中に元メンバーのボブ・ウェルチが亡くなったので、急遽追悼盤になったアレですな」

弘明寺「メンツに惹かれて購入したら、凄く良かったんだよね。でもよく考えるとモコはフリートウッド・マック自体を知らなくて、それで代表作を試しに買ってみたの。で、最高だったから、みんなに聴かせようと思って!」

戸部「ふん、何をいまさら。これは全米チャート31週連続1位を記録した怪物アルバムですぞ。聴いていて当然の代物」

弘明寺「ええっ、31週!?……ということは5か月間も1位だったの!?」

汐入「あの……約8か月間です。それにしても、この記念盤は凄いですね! Disc-1は77年のツアーから厳選された未発表ライヴ音源、Disc-2も初出のレコーディング・セッション集じゃないですか!」

弘明寺「レア音源がテンコ盛りで、フリートウッド・マックというよりビッグマックって感じだよ!」

戸部「……。小生は『English Rose』をはじめとする初期こそマックの真髄だと思っておりますが、メンバーがめまぐるしく変わった末、よりポップ化した『Rumours』の頃も悪くはないですな」

汐入「ポップになってからのほうが後への影響は大きいですよね。ヴューの最新作も、メンバー自身が〈クラッシュが『Rumours』を演奏したような作品〉って語っていましたよ」

弘明寺「よくわからないけど、言われてみればそんな感じだったかも!」

戸部「よくわからないくせにテキトーに答えないでください。ちなみに、前作にあたる『Fantastic Mac』からリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスのカップルが加入したんですが、やはりスティーヴィーのコケティッシュな魅力には流石の小生も抗し難いものを感じますな」

生麦 温「2011年のソロ作も妖しい魅力が満載だったね。小悪魔熟女に弄ばれたいです。あ、皆さん、お茶煎れました」

汐入「急に割り込んできてキモい発言しないでください!」

弘明寺「でも本当にカワイイよね。〈アメリカン・アイドル〉から登場したヘイリー・ラインハートちゃんも、指導役のジミー・アイオヴィンがスティーヴィーをモデルに育てたらしいよ。それくらい、いまでも人気があるんだね」

汐入「そういえば『Rumours』が制作された頃ってリンジーとスティーヴィーはすでに破局していたんですよね。しかもジョンとクリスティンのマクヴィー夫妻、さらにミック・フリートウッドも離婚直後だったとか」

弘明寺「じゃあメンバー全員が傷心状態だったの?」

汐入「はい、現場はかなりギクシャクしていたはずです」

弘明寺「きゃあ〜!」

戸部「まったく婦女子たちはくだらんゴシップが好きですな。そんな状況下であの傑作を作り上げたことこそ評価すべきでしょうが」

生麦「いま思い出したけど、大ニュースがあるよ! スティーヴィーがデイヴ・グロールとジョン・フォガティとバンドを結成したんだ! アルバムを作るかは未定だけど、デイヴが監督したドキュメンタリー映画のサントラ用にスタジオ入りしたみたい」

汐入「それ凄いじゃないですか! 確かマック本隊も春頃に再集結して新作のレコーディングに突入するって噂ですし……」

弘明寺「今年は時ならぬマック・イヤーになりそうだね! あれ!? 〈マック・イヤー〉って〈ま、食えや〉みたいじゃない?」

戸部「……どうでもいいですな」

2013年を迎えても相変わらずダラダラと音楽話に華を咲かせている〈ロッ研〉のメンバーですが、今年こそ多少の成長を期待したいところ。特にモコは大丈夫でしょうか……。【つづく】



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