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【第20回】特別編――MURO×ハマ対談〈完全版〉

MURO×ハマ対談(2)――教科書的な存在

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2013/05/01   18:00
更新
2013/05/01   18:00
テキスト
構成/編集部


教科書的な存在



MURO「ブラック・ミュージックのどこに魅力を感じたんですか?」

ハマ「音像がすごく好きなんです。ロック・バンドも好きなんですけど、気がつけば高校生ぐらいからブラック・ミュージック系ばっかり聴いていて、ゲイターズ(70年代に活動していたニューオーリンズ・ファンクの先駆的なバンド)などを聴いてたんですよ、高3の時とかに。でもおもしろくも何ともないじゃないですか、友達からしたら(笑)。ウチのバンドは4人とも嗜好がバラバラで、同じように掘り下げるにしても本当に共通する音楽趣味では話せないんです。でも感覚的な部分ではわかり合えるので、そこで情報をシェアしていたんですよね。それで、わりと〈ブラック・ミュージック担当〉みたいなポジションになっていて」

MURO「ベーシストが……というところでもないんだね」

ハマ「それこそ映画『シャフト』とか、見た目のカッコ良さからサウンドトラックものを聴いたりしました」

MURO「そうなんだ~。僕はブラック・ミュージックの入りが映画なんですよ。実家がガソリンスタンドなんですけど、子供の頃は親が〈庭をチョロチョロしてるのは危ない〉って、2軒隣にあった〈川口東映〉っていう映画館に朝から晩まで一人で居させられて。訳もわからず3本立ての映画を繰り返し観たりしてたんです。そこで、邦画だったら横溝正史さんの『八つ墓村』『犬神家の一族』とかをやっていて、そこからたぶん大野雄二さんのちょっと怖いなー、後々残るな……みたいな音楽が染み付いたんだと思うんですよね。だから、フュージョンから入ってボブ・ジェイムズとかグローヴァー・ワシントンJrとかを聴くようになって。レコードも安かったから、そのへんが買いやすかったんです」

ハマ「黒人映画のサウンドトラックは、最初、MUROさんのインタヴューを読んで聴いたんですよ。例えばレヴューを読むだけだと、実際にその音楽がどういうものかはわからないし、もし自分にハマらなかったらその憤りをどこにぶつけていいのかわからなくなるんですよ(笑)。でも、MUROさんがインタヴューでおっしゃっていることならもちろん間違いないと思うし、プラス、ミックスCDも出されているので、たくさんのアーティストを知るうえでは教科書的な存在なんです」

MURO「まったく意識ないんでビックリしますよね(笑)」

ハマ「〈教科書〉って言うと堅すぎかもしれませんけど、でもホントそうで。僕がLPというよりも7インチばっかり持っているのも、MUROさんからの影響ですからね」

MURO「そうなんだ(照)。いまもレコードは買うの?」

ハマ「買います。メンバー全員」

MURO「ホントに!?」

ハマ「ツアー中とかは、すごいがんばってリハと本番の間に走って買いに行ったりしますからね(笑)」

MURO「へー、すごい!」