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第67回――サルソウルのソウル

ESSENTIALS――前号に引き続き、入手が容易になったサルソウルのCD作品を紹介するよ! (1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2013/06/12   00:00
更新
2013/06/12   00:00
ソース
bounce 355号(2013年5月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/JAM、林 剛、出嶌孝次


EDDIE HOLMAN 『A Night To Remember』 Salsoul/OCTAVE(1977)

“Hey There Lonely Girl”というソウル・ヒストリーに輝くクラシックを持つファルセットの貴公子が、実はサルソウル初期を勢い付けた重要人物だったということは、レーベルのトピックのひとつとして記憶に留めておきたい。流麗かつ美麗、逞しいボトムを持つディスコ・チューンの数々がサルソウルの行き先を雄弁に告げる。*JAM

 

MOMENT OF TRUTH 『Moment Of Truth』 Salsoul/OCTAVE(1977)

ダブル・エクスポージャーと共に初期サルソウルの色付けに大いに貢献したヴォーカル・クァルテット。プロデュースを手掛けるノーマン・バーゲンとリード・ホワイトロウはサルソウル入社前のファースト・チョイスを後押ししたチームで、“Helplessly”“So Much For Love”といった名曲の数々をこの処女作に遠慮なく詰め込んでいる。*JAM

 

RIPPLE 『Sons Of The Gods』 Salsoul/OCTAVE(1977)

アトランタのGRCからセルフ・タイトルのアルバムを73年に発表、レア・グルーヴとして後年スポットが当てられる“I Don't Know What It Is, But It Sure Is Funky”を生んだことでも知られている大型ファンク・バンド。本作ではシカゴのフロイド・スミスをプロデューサーに迎えてレーベル・カラーにも呼応。しなやかでいて鮮烈なスタイルをモノにした。*JAM

 

DOUBLE EXPOSURE 『Fourplay』 Salsoul/OCTAVE(1978)

ノーマン・ハリス、ロン・タイソン、ロン・カーシーらが制作陣に名を連ねた2作目。前作よりスマートな仕上がりで、“Handy Man”やファースト・チョイス名曲のカヴァー“Newsy Neighbors”などのフィリー・ダンサーから“Perfect Lover”のように雄大なバラードまで、ダイナミックで優美なヴォーカル/ハーモニーの魅力をシンプルに引き出した名作だ。*林

 

THE SALSOUL ORCHESTRA 『How High』 Salsoul/OCTAVE(1978)

ヴィンセント・モンタナ離脱後の初作。ラヴ・コミッティーのロン・タイソン(現テンプテーションズ)やバニー・シグラーが曲ごとに主導権を握る作りにシフトしたものの、BHYやボビー・イーライの演奏が生み出すMFSB的なタイトさと熱気は変わらず。この復刻盤にはコニャックが歌う表題曲のラリー・レヴァン・リミックスもボーナス収録! *出嶌

 

LOVE COMMITTEE 『Law And Order』 Salsoul/OCTAVE(1978)

エシックスと名乗って60年代から活躍し、改名後はTSOPなどからシングルを出していた4人組のファースト・アルバム。華やかなサウンドの上をジョー・フリーマンのラフなバリトンとロン・タイソンの甘美なファルセットが縦横無尽に駆け巡る、フィリー・ソウル屈指のヴォーカル・グループ名盤だ。特に“Cheaters Never Win”は悶絶必至の強力ダンサー。*林

 

DOUBLE EXPOSURE 『Locker Room』 Salsoul/OCTAVE(1979)

ロン・ベイカー、バニー・シグラー、ロン・カーシーらフィリーの要人たちが変わらずガッチリと脇を固めた3作目。シングルになった“ I Got The Hots(For Ya)”が物語っているように、時代の変化を背景にファンク味を巧みに加えてスタイルもアップデートしているが、コーラス・グループとしての旨味が格段と高まっているのが本作最大のポイント。*JAM

 

LOLEATTA HOLLOWAY 『Loleatta Holloway』 Gold Mind/OCTAVE(1979)

ゴールド・マインドでの3作目はマッスル・ショールズ録音を含み、ガラージ的なイメージから一時脱却。フロイド・スミスやボビー・ウーマックらの制作によるシカゴ〜サザン・ソウル調のサウンドでディープ・シンガーとしての原点に立ち返った。デルズも歌った傑作ミディアム・ダンサー“All About The Paper”を収録。*林

 

SKYY 『Skyway』 Salsoul/OCTAVE(1980)

サルソウルでの2作目も当然ながらランディ・ミューラーが仕切り、リーダーのソロモン・ロバーツと共に楽曲を制作。ヘヴィーかつダンサブルなトラックに女声混じりの爽やかな歌が乗るスタイルは不変ながら、モロにシックな“High”、フリーダムを意識したようなカズー使いの“Skyzoo”など、シュガーヒル系のラップに通じる本歌取りが痛快だ。*林

 

FIRST CHOICE 『Breakaway』 Gold Mind/OCTAVE(1980)

サルソウル・オーケストラよりも第2期MFSBのメンバーがバックの中心となったゴールド・マインドからの3作目。よってサルソウル独特の華やかさはやや後退するが、フィリーらしい軽快なグルーヴは健在で、ディープで突進力のあるロシェル・フレミングのリードを中心にクールなハーモニーを聴かせる。“I Can Show You”などモダンな佳曲が揃う。*林

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