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青春時代にいちばんハマったCD――胡麻(30歳)の場合



胡麻「ハイスタも、わたしは『MAKING THE ROAD』がリリースされた頃に知ったから、やっぱり乙女さんより後なんですよね。それもめちゃくちゃ聴いたけど、今回はなぜか外してしまいました……。選んできたのはこの5枚、スピッツ『ハチミツ』、GLAY『BEAT out!』、OBLIVION DUST『misery days』、オフスプリング『Americana』、JUDY AND MARY『WARP』です」

乙女「ふ~ん」

胡麻「古いほうからざっと説明していくと、スピッツは、軽音部でバンドを組んで初めてコピーした曲が“ロビンソン”だったんですよ。それから引退するまでずっとレパートリーのひとつとして演奏してたので、すごい思い出深くて。なんかこの、ジャケの女の子が着てるのと似たようなワンピースを買ってキャッキャしたり(笑)」

乙女「それを着て、学祭に出たんでしょ(笑)」

胡麻「なんで知ってるんですか(笑)。で、当時〈PATi PATi〉とか〈B=PASS〉を毎月読んでたんだけど、そういう雑誌のなかでまさにヴィジュアルから気になったのがGLAY。“生きてく強さ”というシングルが出た時に、〈Mステ〉で初めて動いているGLAYを観て、いよいよ自分のなかで盛り上がりはじめて。決め手となったのはその次の“グロリアス”ですね。この曲で完全にファンになりました」

乙女「みんなGLAY好きだったよね」

胡麻「うん、ほんとに。その後、“BELOVED”や“HOWEVER”、“誘惑”“SOUL LOVE”で世間的な人気が上がっていくにつれて、ファンになる友達もどんどん増えて。みんなでライヴに行ったりもしたし。本当にGLAYと、あとJAMは青春を捧げたって言いきれるくらい大好きでしたね。次はこのOBLIVION DUSTという……知ってます?」

乙女「うん」

胡麻「煎ちゃんは知らないよね」

煎茶「知らないですね~」

胡麻「hide with Spread Beaverでギターを弾いていた、K.A.Zさんがやっているバンドです。存在を知ったのもhideちゃんからの流れだったんだけど、ちょうどそのタイミングでこのアルバムがリリースされて、聴いてみたら見事にハマって。ヴォーカルの人がハーフで、歌詞も基本的に英語なんですよ。当時、自分にとってはそれがすごく新鮮で。ライヴがまたかっこよくて、何度も行きましたね」

乙女「へ~」

胡麻「それまでライヴっていうと大きな会場ばっかりだったんだけど、OBLIVION DUSTがきっかけでライヴハウスに通うようになったんです。初めて彼らのライヴを観たのが、いまは恵比寿だけど当時は新宿にあったリキッドルームで。あんな歌舞伎町のね、女子高生がうろついちゃいけないような場所に(笑)。だから、ちょっとあたし、ライヴハウスになんか行っちゃって、みたいな(笑)。わかります? この感じ」

乙女「わかんない(笑)」

胡麻「わかんないすか!?」

煎茶「わかります(笑)」

胡麻「だってなんか、いつもと違うことをしている感じがすごくあったんですよ。乙女さんにもわかってほしかった、ここは(笑)。で、そのOBLIVION DUSTがラジオ番組をやっていて、それを毎週チェックしてて。そこで洋楽をたくさんかけてたので、オフスプリングもそのなかで知りました」

乙女「売れたよね~、これ」

タワレコ女子放談_第1回_後編_2
胡麻です。

胡麻「初めて買った洋楽のCDではないんですが、たぶん初めて買った輸入盤。歌詞カードがペラペラなんだなって思った記憶があります。いまとなっては、ちゃんと歌詞が書いてあるだけいいじゃないかって感じだけど(笑)」

乙女「グリーン・デイのヒットからベイエリア・パンクがすごい盛り上がってたよね。ちょっとさかのぼってランシドもめっちゃ聴いてた」

胡麻「わたしはゼブラヘッドにもハマりましたね~」

乙女「〈サマソニ〉って感じ」

胡麻「そうそう、のちに〈サマソニ〉の常連になる系の。オフスプはこの後のアルバムも聴いてるけど、自分のなかでヒットしてたものがだんだんヒットしなくなってくる感覚が、年とってきた証拠かな、なんて。『Americana』も高校生の時に出会ったのは大きいと思う。で、最後はJAMのラスト・アルバムですね。JAMはGLAYより先の……」

乙女「93年でしょ。ちょうどね、あれよ、ユニコーンと入れ違いでデビューしてんの。9月でしょ」

煎茶「へ~!」

胡麻「それは気づかなかった! わたしたぶん、これまた〈Mステ〉なんですけど、YUKIちゃんがぬいぐるみを持って〈Mステ〉に出た時がいちばん古いJAMの記憶」

煎茶「ありましたね!」

胡麻「で、なんだこの子は!?と胸がざわついて(笑)聴いてみたのが始まり。それからず~っと好きだったんだけど、2001年、わたしが高校3年生の時に、〈最高のアルバムができたから〉解散することになって。さっき言ってた、乙女さんにとってのユニコーンみたいに、わたしもJAMで初めて〈自分の好きなバンドの解散〉を経験しました。でもそれまで、バンドが解散するのはどうしてなんだろう、自分の好きなバンドがそうなった時にわたしはどうなるんだろう、って思ってたけど、〈最高のアルバムができたから〉と言われて妙に納得できたんですよ。もちろん表には出ないいろんな事情があったと思うし、当然寂しかったけど、4人でやりきったってことなら、もうそれでいいんだろうなと」

乙女「腑に落ちた」

胡麻「うん、そうですね。で、高校の卒業式の次の日に、東京ドームでJAMの解散ライヴを観て、わたしの青春は終わりました。本当に〈終わった〉っていう感覚があったんですよ。だからなのかな、その後、それまで好きだったアーティストをほとんど追わなくなってしまって(笑)。しばらく何を聴けばいいのかわからない時期が続きました」

乙女「ふ~ん」

胡麻「だから『WARP』は、自分の青春時代を完結させたアルバムだと思ってるんです」



胡麻がハマった5枚を改めてレコメン( ´艸`)



スピッツ 『ハチミツ』
“ロビンソン”はイントロのフレーズをなめらかに弾くのが難しくて四苦八苦したなぁ、とか思い出しつつひさしぶりにこのアルバムを聴いたら、どの曲も歌詞をほとんど覚えていてびっくり! そしてリリースから20年近く経つのにまったく色褪せていないという事実も再確認。“愛のことば”なんて、いまのほうが胸にグサッときます。

 

GLAY 『BEAT out!』
恋に恋焦がれ恋に泣く~♪ スクールデイズの輝きが描かれた“グロリアス”は、まさにその真っ只中にいる頃に出会った曲。いまでもいちばん好きなGLAYソングです。それから“月に祈る”はバンドでコピーしたし、“週末のBaby talk”には YUKIちゃんがゲスト参加しているし、ここには書ききれないくらい思い入れのある一枚!

 

OBLIVION DUST 『misery days』
高校生の頃は“THERAPY”や“FUTURE WOMB”で聴ける、爆発力のあるサウンドが好きでライヴでも大暴れしてたけど(若かった……)、いま思うとフロントマン・KEN LLOYDの歌声、ステージでの佇まいにはえも言われぬ色気があったなぁ。ちなみにK.A.Zさんは現在、HYDEとのユニット・VAMPSでも活躍していらっしゃいます。

 

THE OFFSPRING 『Americana』
疾走に次ぐ疾走、とはわたしが勝手に抱いているこのアルバムのイメージ(言いすぎ?)。若かりし日、“Walla Walla”を聴いて意味もなく走りたい衝動に駆られたりしたものです。それがだんだん“Why Don't You Get A Job?”のような、そんなに走らなくてもいい曲がしっくりくるように……。年をとるってこういうことなの!?

 

JUDY AND MARY 『WARP』
JAMの作品はどれも死ぬほど聴いたけど、あえてひとつだけ選ぶなら――。ここに並ぶすべての曲が、4人がそれまでやってきたことを結実させた〈到達点〉。当時18歳だったわたしは、〈最高のアルバム〉というのはそういう意味なんだろう、と解釈しました。30歳になっても、不思議とその気持ちは変わらないんだよなぁ。