青春時代にいちばんハマったCD――煎茶(26歳)の場合
煎茶「なんか話を聞いてて、おふたりの世代ってつくづくうらやましいんですよね。ちょうど90年代のど真ん中を通ってるじゃないですか。微妙にコンプレックスを感じる」
乙女「なんで(笑)」
煎茶「リアルタイムっていいな~、みたいな」
胡麻「まぁ、(J-POPが)いちばん盛り上がってた時期ではあるのかもしれないですねぇ」
煎茶「わたしは結局、振り返り振り返りになっちゃうんで」
胡麻「なるほどなるほど」
煎茶「で、わたしにとっての5枚は、宇多田ヒカル『First Love』、アヴリル・ラヴィーン『Let Go』、椎名林檎『加爾基 精液 栗ノ花』、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『LAST HEAVEN'S BOOTLEG』、オアシス『Stop The Clocks』です。まず98年に、浜崎あゆみと椎名林檎と宇多田ヒカルが出てきて」
胡麻「あとaikoね、aiko」
煎茶「わたしはそこから始まった感があって」
胡麻「ちょうどその頃だよね、中学入ったの」
煎茶「そうですね、中1が99年なんで。当時、“First Love”がタッキー(滝沢秀明)が出てたドラマの主題歌になって」
乙女「あれだ、松嶋菜々子の。魔女の……」
煎茶「〈魔女の条件〉。それにめちゃくちゃハマって、すっごい聴いてましたね」
胡麻「わたし、宇多田さんの曲にしっくりくるまでけっこう時間かかった気がする。(宇多田と)同い年なんだけど、全然そんな恋愛してなかったから(笑)」
乙女「大人だった?」
胡麻「そうそう。歌詞の内容がたぶんリアルなんだろうなっていうのが逆に、自分はそこまでまだ至ってない、みたいな感じだったんですよね」
煎茶「そう言われるとわたしも理解できていなかった気が……背伸びして聴いてたのかな(笑)。アヴリルの『Let Go』はクラスのみんなで回して聴くくらい、すっごく流行って。“Sk8er Boi”とか“Complicated”とか、ほんとに何回聴いたかわかりません」
胡麻「『Let Go』って何年?」
煎茶「2002年ですね。その頃は他に、椎名林檎の『勝訴ストリップ』とか、女性アーティストばっかり聴いてました」
胡麻「でも今回選んだのは、『加爾基 精液 栗ノ花』なんだ」
煎茶です。
煎茶「なんで〈勝訴〉の後がこういう音なんだろうって思ったんですよ。曲のイメージが前作までと全然違ってたのが、最初ちょっとショックで。好きだったから」
胡麻「だってタイトルだけですごい……」
乙女「……意味わかんないよね(笑)」
胡麻「かなり衝撃的だった。このタイトルいいの!?みたいな」
煎茶「全然わかってなくて、普通に声に出して言ってたんですよね」
乙女・胡麻「(爆笑)」
胡麻「けっこうね、女子が言うには抵抗のある(笑)」
煎茶「親とかびっくりしてました」
乙女「そりゃびっくりするわ(笑)」
煎茶「でも“やっつけ仕事”っていう曲が、ほんとに家事とかをやっつけながらの音楽になってて。最初にニュースの音声が流れたり、掃除機のガシャンっていう音が入ったり。で、なんかおもしろい!と思って、結果いちばんよく聴いたんです。椎名林檎を好きになったからこそ、スカパラとかNUMBER GIRLとかPE'Zとか、いろいろ広がって。椎名林檎にいちばん影響を受けたかもしれないですね」
胡麻「へ~、煎ちゃんがそんなに林檎を好きだったとは」
煎茶「で、ミッシェルは映画〈青い春〉のオープニングで使われている“赤毛のケリー”を聴いて、なんてかっこいいんだと思って」
胡麻「〈青い春〉って誰が出てたっけ……」
煎茶「松田龍平とか、高岡蒼佑とか。そのなかにいた大柴裕介っていう坊主の人が、すっごくかっこよかったんですよ。で、お兄ちゃんにこの人は誰だって聞いたら、お兄ちゃん世代の〈MEN'S NON-NO〉のモデルらしくって。ARATAとか伊勢谷友介と同じ頃の。それでなんか、画像とか検索して」
乙女「きぃ~たぁ~、画像検索!!」
胡麻「青春時代に画像検索した記憶ナシ(笑)」
乙女「もう画像検索したり、YouTubeとか観はじめちゃうと、ちょっと違うよね。異次元世代」
胡麻「そうそう。完全にもう……溝がね」
乙女「深まるよね」
煎茶「あぁ……携帯は持ってました?」
乙女「ポケベル! PHS! ピッチピッチ」
胡麻「ピッチピッチ」
煎茶「あっ……すいません」
胡麻「謝られた(笑)」
煎茶「あとオアシスは、2002年の『Heathen Chemistry』あたりから好きで」
胡麻「『Stop The Clocks』はベストだよね?」
煎茶「そう、東京に出てきて専門学校に通ってたんですけど、1年目か2年目くらいにこのアルバムが出たのでタワレコに買いに行ったんです。それから通学の間、ず~っと聴いてましたね。洋楽はあんまり詳しくなかったんですけど、オアシスだけは好きでした」
胡麻「じゃあ煎ちゃんはまだオアシスわかる世代なんだね」
煎茶「はい」
乙女「全然わかるでしょ。ちゃんと聴いてる時代が違うだけだよ。〈Morning Glory〉はリアルタイムで聴いてないんだもんね?」
煎茶「後追いですね~」
胡麻「〈Morning Glory〉聴いてればオアシス知ったようなもんですよ(笑)」
乙女「そんなことはない(笑)」
胡麻「失礼しました(笑)。……というこ・と・で、今回は以上です! お疲れさまでした~」
乙女「長かった……」
煎茶「でも、このとりとめのなさが〈ガールズトーク〉ですよね(笑)」
胡麻「煎ちゃん、ナイスフォロー!」
乙女「次は何の話する?」
胡麻「そうですねぇ、女子らしくファッションの話でもしましょうか」
煎茶「掲載日は……」
胡麻「未定です!」
乙女「やっぱりいきあたりばったりだ(笑)」
煎茶がハマった5枚を改めてレコメン( ´艸`)
宇多田ヒカル 『First Love』
どの曲もすっごい大人なのに、歌はもちろん、作詞作曲を手掛けているのも16歳の少女であるという事実に気が遠くなった記憶が。特に“First Love”は、主題歌に起用されたドラマ「魔女の条件」のストーリーとも相まって、ボケ~ッとしていた中1女子(煎茶)の胸をも切なく揺らしてくれました。
AVRIL LAVIGNE 『Let Go』
友人に薦められるがまま聴いたこのファースト・アルバムは、その後長らく通学のお供として大活躍。洋楽に慣れていなかったあの頃、英語の歌にもこんなに親しみやすい曲があるのか~!なんて感心してたっけ。“Complicated”“Sk8er Boi”なんかは、MD(懐かしい響き)で何百回、いや何千回聴いたことか!
椎名林檎 『加爾基 精液 栗ノ花』
最初に聴いた時の「え?」っていう違和感はもうどこへやら。『無罪モラトリアム』『勝訴ストリップ』に心酔していた当時は、本作で鳴らされている音が摩訶不思議でなりませんでしたが、振り返ってみると、そこでなぜだろう?と思いながら深く耳を傾けたことが、音楽をおもしろいと思えるようになったきっかけだった気がする。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 『LAST HEAVEN'S BOOTLEG』
2002年に公開された映画「青い春」のオープニングを飾る“赤毛のケリー”に胸を撃ち抜かれて以来、ミッシェルには多大な影響を受けた煎茶です。2003年に行われたラスト・ツアーの音源を収録した本作は、解散前に観ることが叶わなかったライヴの模様を思い浮かべながら聴き倒した一枚。
OASIS 『Stop The Clocks』
このベスト盤に出会うまで、リアムとノエルの違いすらよくわからなかった(笑)。本作でより広い時代の楽曲に触れたことで、過去聴き逃してきたオリジナル作を改めて探ってみたり、パーソナルな部分にも興味が湧くように(……ようやく?)。若干空回り気味だった学生時代、浮ついた心を落ち着かせてくれたなぁ。