ひたすら六弦生活を送る男が、ギタリスト目線も交えて名盤を紹介する連載!
【今月の一枚】FOO FIGHTERS 『One By One』 RCA(2002)
フー・ファイターズを初めて聴いたのはファースト(95年作『Foo Fighters』)ですね、ニルヴァーナからの流れで。でも、ちゃんと聴き込んだのはこの『One By One』です。1曲目の“All My Life”が始まった瞬間に、それまでの3作品とはまったく雰囲気が違うことを肌で感じて、すごいアルバムだと思いました。
フー・ファイターズを聴いてまず思い浮かべるのは、〈ロック〉という言葉。ギターとドラムとベースとヴォーカルだけで勝負している、その男らしさや潔さみたいな部分に惹かれますね。
そして、いろんな音楽の影響も感じます。さまざまなアーティストの良い部分を上手くコンパクトにアレンジして、聴きやすくまとめてある。グランジも、パンクも、ハードコアも入ってるけど、ポップさもあって……いちばん強く出ているのはハード・ロックの部分ですね。まさにデイヴ・グロールらしいと思います。
実は、デイヴには会ったことがあって……2006年のジャパン・ツアーのとき、(ELLEGARDENで)オープニング・アクトをやらせてもらったんです。そのとき俺らのライヴをステージ袖でデイヴが観ててくれたんですよ。嬉しかったですね。そしてライヴ後に俺らのところに来て、メンバー全員と握手して〈ありがとう〉と言ってくれて、そのままステージに上がって行ったんです。それがすごくカッコ良くて……ライヴのあとも楽屋まで呼んでくれていっしょに乾杯して……そういう私情も挟んでいるかもしれないけど、人間的な部分でも尊敬できる人ですね。
ドキュメンタリー映画も観たんですが、音楽に対してすごく真摯で、音楽を作り上げるために一切妥協をしないし、ときには冷酷な決断もする。でもそれは音楽のためであって人としては真っ当な気がして……そういう人が作る音楽だから、これだけ多くの人の心に響くんだろうなと思います。
デイヴの人柄にしても、バンドを進めていくうえでのスタンスにしても、いま思うとずっと手本にしてやってきてたかもしれませんね。でも何が好きかって言ったら、純粋に彼らの曲が好きなんです。それがカッコ悪かったら意味がないし、それがあるからこそ、すごく魅力的な人、魅力的なバンドなんだと思います。
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PROFILE/生形真一
Nothing's Carved In Stoneのギタリスト。最新作『REVOLT』(エピック)を引っ提げた全国ツアーを終えたばかりの彼らですが、その他のイヴェント出演も続々とアナウンス中! 詳細はオフィシャルサイト〈www.ncis.jp〉にて!!