ここ数年におけるベース・ミュージックの変遷で多くのアーティストが浮き沈みを余儀なくされるなか、マシーンドラムことトラヴィス・スチュワートは時代の空気を読みながら、流行と絶妙な距離感を保って進化を続けてきた。IDM系のビートメイカーとして頭角を現し、UKガラージ、ダブステップ、ジュークなどを通過。そのいずれも完成度が高く、独創的であった。そして9月にニンジャ・チューンから発表された最新作『Vapor City』で、彼はジャングルに辿り着いている。きめ細かい複雑なリズムに叙情的なメロディーを重ねて独自の色に染め上げた密林サウンドは、90年代のオリジナル・ジャングルを知る者にも知らぬ者にもフレッシュに聴こえるはず。そんな新たなマシーンドラム像を打ち出した矢先の〈エレグラ〉出演ということで、言うまでもなくアルバムの予習はマストだ。機材を駆使し、巧妙な音構築を楽しむ彼の姿が目に浮かぶ!