ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番《皇帝》; ストラヴィンスキー: バレエ《ペトルーシュカ》(1947年版)＜タワーレコード限定＞

稀少なカサドシュの旧PHILIPSステレオ録音である「皇帝」と、死の約5か月前のロスバウトの秀逸な「ペトルーシュカ」を1枚に集成。本国オリジナル・マスターより新規復刻。新規序文解説付

ハンス・ロスバウト&コンセルトヘボウ管による旧PHILIPS音源への貴重な録音を2種収録しました。とりわけ現代音楽のエキスパートと言われたロスバウト(1895-1962)は長らくドイツの放送オケの音楽監督等を務めていたこともあり、膨大な数の放送音源を残しています。その時期の放送録音はほぼモノラル収録のため、残された音のそのほんどはステレオで残されていないのが残念ですが、このPHILIPS音源に限ってはステレオのセッション録音ということもあり、ロスバウト最晩年の貴重な録音として知られています。
61年収録のカサドシュの「皇帝」は2種ある正規録音のひとつで、55年のミトロプーロス&NYPとのモノラル盤と比較して、この盤はステレオということ、そしてオケの音色の顕著な違いもあってか、より繊細なカサドシュのタッチとバックの流麗なオケとのブレンドが見事に調和している名演です。
ロスバウトのルーツはオーストリアにあり、ベームの1年後に同じグラーツで生まれています。的確なフレージングと曲全体の構成を踏まえた上での確固たるアプローチはドイツ本流の流れを組むもので、先ごろ放送音源として輸入盤で復刻されたブルックナーの交響曲集(第2-9番)でも同様に重心の低い正統的な音楽作りに終始しており、あらためてロスバウトの素晴らしさが伝わる貴重な音源と言えるでしょう。
亡くなる約5か月前の「ペトルーシュカ」は2管編成の1947版を使用しており、まだローカル色が残っていた当時のオケの音色が良く反映されている好録音です。シャープというよりむしろこの曲は20世紀初頭の作品であるということがよく理解できる解釈であり、この曲のあるべき姿を反映させた演奏と言えるかもしれません。尚、コンセルトヘボウ管によるこの曲の録音は意外と少なく(PHILIPSはデイヴィス、コンドラシンのライヴ、DECCAはシャイー)、その意味でも貴重な音源です。
今回の復刻では、本国のオリジナル・アナログ・マスターテープに遡り、新規でハイビット・ハイマスタリング(192kHz/24bit)でデジタル化を行いました。瑞々しい音質は必聴です。また、各盤のアルバムのオリジナル・ジャケット・デザインを採用しています。再発にあたっては、渡辺謙太郎氏による新規の序文解説をブックレットに掲載しました。尚、今回のVintage+plus Vol.25は全7タイトルを発売します。