「名作コンシェルジュ」掲載!ラルス・フォークト/ショパン:ピアノ作品集
2022年11月13日(日)日経日曜版「名作コンシェルジュ」に紹介されました
「新たな境地に誘う演奏 未知への好奇心に満ちて」(鈴木淳史氏評)
2022年9月5日に癌のため51歳の若さで亡くなったドイツのピアニスト、指揮者のラルス・フォークトが2013年に録音したショパン:ピアノ作品集が2022年11月13日(日)日経日曜版の鈴木淳史氏による名物コラム「名作コンシェルジュ」で紹介されました。
鈴木氏は「ドイツのピアニストが弾くショパンは一風変わっている」と書き始め、フォークトの演奏が過去のドイツの巨匠ケンプやバックハウスによる「ショパンのバッハへの傾倒という側面を打ち出す、優れた演奏」の系譜に連なり、「ドイツ人ピアニストによる21世紀ならではのショパン」を鳴り響かせていると指摘します。
もっとも個性的な演奏となったのがピアノ・ソナタ第2番“葬送行進曲付き”で、第1楽章主題の「ポリフォニックな」弾き方、第3楽章(葬送行進曲)での「透明感をもった悲しみが全体を覆い尽くす」表現に触れたあと、ミステリアスな終楽章で見せたフォークトの類例のない挑戦を紹介。この解釈について鈴木氏が生前のフォークトに質問したところ、「この楽章にもメロディと感じられる部分があり、それを速いテンポのまま引き出し、できる限り静かに小さい音で弾いた」と返答されたとのエピソードが紹介され、「これまで誰も知覚できなかった新たな境地へ足を踏みいれる。フォークトの演奏は、つねに未知への好奇心であふれていた」と評しています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
【曲目】
ショパン:
バラード第1番 ト短調 Op.23
ノクターン第1番 変ロ短調 Op.9-1
ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2
スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
ノクターン第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2
ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
ノクターン ハ短調 KK IVb8 Op.posth
ノクターン 嬰ハ短調 KK IVb16 Op.posth(遺作)
【演奏】
ラルス・フォークト(ピアノ)
【録音】
2013年3月
(ドイツ、ケルン)
ラルス・フォークト
1970年9月8日、ドイツ中西部のデューレン生まれ。ハノーファー音楽演劇大学で名教師カール=ハインツ・ケマーリング(1930~2012)に師事。1990年のリーズ国際ピアノ・コンクールで第2位を受賞しましたが、審査員のサイモン・ラトルが彼の第1位を主張したことで話題を呼びました。以後、欧米やアジア各地で、主要オーケストラとの共演ほか、ソロや室内楽の活動を展開。特にベルリン・フィルとは親密な関係にあり、2003/04年シーズンには、同楽団初のレジデント・ピアニストに任命されました。
室内楽にも熱心で、1998年6月には自身の室内楽フェスティバル「シュパヌンゲン」を設立。創設以来、芸術監督を務め、ケルン近郊のハイムバッハにある旧水力発電所を会場に毎年開催されるコンサート・シリーズをプロデュースしました。
2014年5月、フォークトは北東イングランドのロイヤル・ノーザン・シンフォニアから次期音楽監督として発表され、2015年9月から就任。5年間の在任期間中に成功を収め、2020年から首席芸術パートナーとして留任。2020/21年シーズンからはパリ室内管弦楽団の音楽監督を務めました。
2021年初頭、喉と肝臓に腫瘍が見つかり、癌と診断され、治療をしながら演奏活動を続けていましたが、2022年9月5日(月)午後、自宅で家族に見守られながらに51歳で亡くなりました。翌10月に来日し新日本フィルハーモニー交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢と共演予定でした。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
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