飯守泰次郎によるベートーヴェン:交響曲全集【マルケヴィチ版による世界初の全集録音】
マルケヴィチ版に基づく世界初の全集
1997年の常任指揮者就任以来、意欲的な活動で常に注目を集める飯守/東京シティ・フィル。2000年におこなった新ベーレンライター版に基づく「ベートーヴェン・ツィクルス」は、作曲者の精神に迫る革新的な演奏により、第32回サントリー音楽賞贈賞理由の筆頭に挙げられました。雄飛10年、2010/11のシーズンに2回目のツィクルスに取り組む飯守が下した決断──それはマルケヴィチ版の使用でした。
20世紀を代表する大指揮者イゴール・マルケヴィチ(1912~83)は、1930年代にそのキャリアを開始しました。欧米各地のオーケストラに蔵書されている、巨匠たちの書き込みが残された楽譜に接した彼は、その解釈によってはベートーヴェンの本質から離れてしまう危機感を覚え校訂譜の作成を決意します。そして、この労作は1982年にペータース社から出版されました。しかし、翌年マルケヴィチは他界し、この楽譜はほとんど注目されないまま今日に至りました。
飯守は別冊の校訂報告を熟読し、演奏における実際と理論の両面を踏まえ、20世紀までの演奏芸術を次代に伝えるこの画期的な校訂譜の採用を決断、機能性よりも表現性に訴える全曲演奏を果たしました。古楽的アプローチが隆盛を極める現代のベートーヴェン演奏に、巨大かつ普遍的な楽聖像を呈示する全集の登場です。
【曲目】
ベートーヴェン:交響曲全集(マルケヴィチ版)
【演奏】
飯守泰次郎(指揮)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第9番…佐々木典子(S)、小山由美(A)、福井敬(T)、小森輝彦(B)、
藤丸崇浩(合唱指揮)、東京シティ・フィル・コーア
【録音】
2010年5月-2011年7月 東京オペラシティ,東京芸術劇場(ライヴ)