パリのユーフォニアム~管楽器の王国フランス、金管楽器はさらなる新時代へ
掲載: 2013年04月05日 18:41
更新: 2013年04月05日 18:48

まるでサックスのようなニュアンスの豊かさ、トランペット的な抜けの良さ、とびきりの機能性…、
ユーフォニアムという楽器は、さながら金管楽器界のチェロのような存在?とも思わせる味わい豊かな調べの魅力は、
パリ警視庁楽団のスーパープレイヤーならではの境地!
管楽器の王国フランスの「いま」を代表するスーパープレイヤーたちを早くから集め、痛快なリリースを続けてきたIndesens!レーベル。
このところ歴史的ピアノものやフランス近代作曲家たちの妙盤(サン=サーンスやプーランク、エネスクなどの思わぬ室内楽曲集、無伴奏ヴァイオリンの20世紀作品集…)も相次ぎ、どんどんレーベルの幅が出てきていますが、基本的に「フランスならでは!」というある種の薫り高さと、パリらしい洗練と雑味の絶妙というほかない交錯から生まれる抜群の音楽センスは、どのアルバムにも決して失われることなく馥郁と息づいているのでした。
そんなIndesens!の本領発揮ともいうべき1枚が、このユーフォニアム・アルバム!
クラシック・シーンでも「英雄の生涯」やヤナーチェク「シンフォニエッタ」、ラヴェル版「展覧会の絵」などで聴き手をはっとさせる瞬間をつくりだしているユーフォニアムは、フランス金管合奏の要ともいえるサクソルン属の中低音ソロ楽器、ないし著しくメロディアスな演奏ができる高めの音域で活躍するチューバ…というような存在として、金管世界に独特の立ち位置を築いてきましたが、このアルバムに寄せられた演奏者自身の解説(全訳付)によれば「ここ10数年でこれほど大きな発展をとげた金管楽器はない」のだそうで。世界的に知られたパリの管楽器メーカー、ビュッフェ=クランポン社の代表奏者もつとめる本盤の主人公バスティアン・ボーメは、信じがたい腕利きばかりが居並ぶ「管の国」フランスの猛者集団、パリ警視庁吹奏楽団のメンバーであるだけでなく、ソキエフ指揮トゥルーズ・カピトール管やフランス国立管、フランス国立放送管、パリ・オペラ座…と第一線の超一流楽団から続々ユーフォニアム奏者として招かれ続けている異才中の異才!
20代半ばにしてこのもてはやされぶりですから、末恐ろしいというほかありません。
近年のユーフォニアム芸術のめざましい発展をありありと印象づけるべく選ばれたプログラムは、昨今定番作品となりつつあるV.コスマの協奏曲をはじめ、なめらかさとパワー、洗練と超絶技巧とを兼ね備えたこの楽器ならではの魅力の諸相、そして奏者ボーメの桁外れなセンスの多面性もじっくり味わえる、そんなヴァラエティの豊かさが嬉しいところ。ブラス・ファンに限らず、多くの人がユーフォニアムという楽器にあらためて開眼すること間違いなし!の1枚と言えるでしょう。
【曲目】
ジェイムズ・カーナウ(1943~):
(1)シンフォニック・ヴァリアンツ (共演:パリ・ウィンド・アンサンブル)
ダニエル・A.ダダーモ(1966~):
(2)2本のサクソルンのための「フォリア」 (共演:セバスティアン・ステーン...サクソルン2)
フィリップ・スパーク(1951~):
(3)2声のインヴェンション (共演:スティーヴン・ミード...ユーフォニアム2)
(4)パーティ・ピース (共演:ジェラルディーヌ・デュットロンシ...ピアノ)
ヴラディミール・コスマ(1940~):
(5)ユーフォニアム協奏曲 (共演:クー・ド・ヴァン吹奏楽団)
【演奏】
バスティアン・ボーメ (ユーフォニアム、サクソルン)
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