ムーンライダーズの武川と白井＝ガカンとリョウメイの新作

ムーンライダーズの武川雅寛と白井良明からなる、アコースティック・ユニット「ガカンとリョウメイ」。2001年にリリースしたファースト・アルバム『東海道五次』より早くも12年、スタジオ・レコーディングの新曲に過去のライヴ音源に新たなサウンドをダヴィングしたカレント・トラックスとも含む、待望のセカンド・アルバム発売! 「ガカンとリョウメイ」12年目の真実がここに!?

【レビュー by 村尾泰郎】
　2011年に活動休止中宣言をしたムーンライダーズ。しかし、メンバーのソロ活動は休むことなく、それどころか、これまで以上に精力的だ。そんななかで、白井良明と武川雅寛のユニット、ガカンとリョウメイが新作『effects of time』をリリースした。ムーンライダーズ活動休止後、白井は20年ぶりのソロ・アルバム『ポートレイト・オブ・ア・レジェンド1972-2012』、武川は16年ぶりのソロ・アルバム『dregs of dream』を発表しているが、ガカンとリョウメイとしてアルバムを発表するのは12年ぶりのこと。もともと、ムーンライダーズ結成20周年を記念して誕生したガカンとリョウメイは、ギター（白井）とヴァイオリン（武川）を中心に、そこにそれぞれが奏でるウクレレやマンドリン、ベースなどが加わる弦楽器をベースにしたユニークな編成で、ムーンライダーズやロックの名曲の数々をカヴァーしてきた。01年に発表したファースト・アルバム『東海道五次』はライヴ・アルバムだったが、今回は04年のライヴ音源とスタジオ録音の新曲が入り混じっていて、まるで二人の過去と現在を行き交うような構成だ。
　濃密で迷宮のように入り組んだムーンライダーズのサウンドに比べると、ガカンとリョウメイはオーガニックで伸びやか。例えばオープニングを飾るアルバム・タイトル曲では、アイリッシュ・トラッドを思わせるヴァイオリンの旋律に導かれて子供達の無垢な歌声が聞こえてくる。このトラッド・テイストは本作のところどころに散りばめられているが、なかでも二人で共作したインスト「gorse crown」のみずみずしいメロディーからは、二人のトラッド・ミュージックへの愛情がこぼれ落ちるようだ。その一方で、武川作「floating time」の朴訥とした優しさや、いぶし銀のラップをフィーチャーした白井作「41番街のバラード」の粋なカッコ良さなど、それぞれの持ち味もしっかり織り込まれている。そうしたオリジナル曲の充実ぶりが本作の嬉しいところだが、もちろん、それぞれのソロ・アルバムに収録された曲や「Come sta. Tokyo?」「春のナヌーク」「俺はそんなに馬鹿じゃない」などムーンライダーズのセルフ・カヴァーも収録。トラッド、ワールド・ミュージック、ルーツ・ミュージックなどをさらりと消化しつつ素材の良さを引き出した歌心溢れるアレンジは、聞きやすさのなかにもコクがあり、男の手料理みたいな温かで骨太な味わいだ。さらに今回はライヴ音源が挿入されることで、まるで二人の男が人生という名の旅をしながら心の赴くままに音楽を奏でているような軽やかさもある。ある意味、本作はガカンとリョウメイの歌う旅日記であり、バンドは休止しても二人の旅はまだまだ続くのだ。

『effects of time』のリリース・ライヴが決定！
FUJI ROCK 2013にも出演したムーンライダーズのギタリスト白井良明(シライリョウメイ)とヴァイオリニスト武川雅寛(タケカワマサヒロ)のアコースティック・ユニット「ガカンとリョウメイ」12年振りとなるオリジナル・アルバム『effects of time』のリリース・ライヴが決定！

京都
日程：2013年10月8日（火）
会場：SOLE CAFE
京都市北区紫野東蓮台野町10-16 Tel/Fax.075-493-7011
時間：開場19:00 / 開演19:30
料金：前売￥3,500- / 当日￥4,000- （1D別）

東京
日程：2013年10月25日（金）
会場：7th FLOOR
東京都東京都渋谷区円山町2-3 TEL 03-3462-4466
時間：開場18:30 / 開演19:30
料金：前売￥3,000- / 当日￥3,500- （1D別）

インストアイベント決定
開催日時：　2013年10月6日(日)　17:30 START
開催場所：　タワーレコード難波店　4Ｆイベントスペース

開催日時：　2013年10月9日(水） 18:30 START　　観覧フリー
開催場所：　タワーレコード名古屋パルコ店　店内イベントスペース　

開催日時：　2013年11月11日（月） 19:30 START
開催場所：　タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース