幻想と神秘に満ちたカタトニア最新ライヴ映像がリリース
1991年にストックホルムで結成したカタトニアは1993年、『Dance Of The December Souls』でデビュー。暗く陰鬱なデス/ドゥーム・メタル・サウンドによって、初期パラダイス・ロストやアナセマへのスウェーデンからの回答と呼ばれる。1990年代後半、デス・ヴォイスを徐々に排除、クリーンなヴォーカル主体になっていったことも、その盟友たちと共通する方法論だった。徐々にプログレッシヴで耽美的な方向へと変化していった彼らは、2012年に『Dead End Kings』を発表。ヘヴィネスとアンビエンスの融合がひとつの完成系をみた作品として、メタル界の枠を超えて高い評価を得ている。
だが、彼らの“進化”と“深化”はそこで終わらなかった。続く『Dethroned & Uncrowned』(2013)はなんと、『Dead End Kings』を全曲アコースティック・アレンジした“番外編”アルバム。そして、その世界観をさらに押し進めたのが、本作『サンクティテュード』だ。2014年5月16日、ロンドンのユニオン・チャペルでライヴ・レコーディングされた本作。19世紀に建設され、今日でも教会として使われているこの会場は独特のムードとサウンドの響きを持つことで知られ、プロコル・ハルムやデヴィッド・バーンもライヴ・レコーディングを行ってきた。カタトニアはロウソクの灯りの下、荘厳な雰囲気で演奏を繰り広げている。
「アクションよりもアトモスフェアを重視した」とバンドが語る演奏は、『Dethroned & Uncrowned』の音空間をさらに拡げていったものだ。最新作からの「アンドゥ・ユー」「リシアン」は教会というロケーションを得て、もはや崇高なる賛美歌のような響きをたたえている。また、過去の楽曲も同様のスタイルで『The Great Cold Distance』(2006)からの「イン・ザ・ホワイト」、『Last Fair Deal Gone Down』(2001)からの「ティアーガス」、『Viva Emptiness』(2005)からの「スリーパー」「ワン・イヤー・フロム・ナウ」「オメルタ」「エヴィデンス」などが、楽曲のアンビエンスをさらに強調したスタイルで、再臨(リザレクション)を果たす。
ライヴ演奏はエレクトリックとアコースティック楽器を交えながら、よりベーシックな内面を露わにするアレンジを施したものだ。ヘヴィネスを残しながらも、かつての“デス=死”への志向は希薄であり、“生”へのセレブレーションに満ちたものだ。ラスト「ザ・ワン・ユー・アー・ルッキング・フォー・イズ・ノット・ヒア」にはザ・ギャザリングの女性ボーカリスト、シリェ・ヴェルヘラントがゲスト参加。そのサウンドにさらなる深みをもたらしている。闇より黒いデス/ドゥーム・メタルから、透き通ったネオ・プログレッシヴへの旅路は、カタトニアというバンドの軌跡を集約した、“サンクティテュード=清め”の過程だ。
映像ドキュメンタリー『ビヨンド・ザ・チャペル』を収録。トータル66分にわたって、この記念すべきライヴのバックステージ模様、インタビューなど貴重なフッテージを見ることが出来る。
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タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2015年03月25日 11:33