ムーティが創立したルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管との“ジュピター”&“ハフナー”
現代の巨匠リッカルド・ムーティ。2004年に自らが創立したオーケストラ、ルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団とのモーツァルトの2つの交響曲が発売されます。ヨーロッパ全土で活躍したイタリアの作曲家ルイージ・ケルビーニにちなんで命名され、強いイタリアのアイデンティティとヨーロッパの音楽・文化観へと向けられた自然な傾向を結びつけるという、この楽団の趣旨がはっきりと示されています。この楽団は、ミラノの南東70キロ程の街ピアチェンツァに本拠地を構え、毎夏ムーティが総監督を務めるラヴェンナ音楽祭に出演しています。奏者はすべて30歳以下のイタリア全土から集まった若者。名門オーケストラを指揮するような緊張感ではなく、演奏をすることを楽しむように、生き生きと音楽を若い演奏家たちと作り上げています。
ムーティは、このモーツァルトの交響曲「ハフナー」「ジュピター」ともに、ウィーン・フィルと録音しています。その演奏は、ウィーン・フィルの美しい伝統的な響きとムーティの上品かつ丁寧な音楽作りで名盤としてあげられています。この録音でも、響きこそ異なりますが、オーケストラの力量を存分に引き出し、たっぷり語らせ自然な音楽の流れを作り出し、瑞々しい演奏を聴かせてくれます。
(キングインターナショナル)
カール・ベームが世を去った後、ザルツブルク音楽祭がモーツァルト・オペラ上演のための指揮者として選択したのは、独墺系のアーティストではなく、イタリア人のムーティでした。なかでもムーティが指揮した「コジ・ファン・トゥッテ」は、その南欧の青空を想わせるカンタービレと、堅苦しさをまったく感じさせない軽快な音楽運びで大評判となったものです。
一方レコーディングの世界でも、当時の蘭Philipsは一世を風靡しつつあった古楽系の演奏家、ブリュッヘンとガーディナーをたててモーツァルトの交響曲録音を進めていましたが、従来のモダン楽器によるレコーディング・アーティストとして選ばれたのが、ムーティとウィーン・フィルのコンビだったわけです。それほどムーティのモーツァルト演奏は、評価が高いものでした。
とは言うものの、当時のムーティの一連の録音は、たとえば手兵であったフィラデルフィア管弦楽団を振ったものを含め、美しい響きを求めて慎重にオーケストラを抑制した巨匠的なスタイルが多かったようにも思えます。そんなムーティもすでに75歳を迎え、真の巨匠として次世代の音楽家を育てる立場。イタリアの若者たちを集めて自ら創設したルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管を振って、今のムーティはどんなモーツァルトを聴かせてくれるのか。ウィーン国立歌劇場との来日公演を控えて、興味の尽きない新録音です。
(タワーレコード)
【収録曲目】
モーツァルト
交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
【演奏】
リッカルド・ムーティ(指揮)
ルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団
【録音】
2014年(ハフナー)、2009年(ジュピター)
=「ウィーン国立歌劇場」2016年日本公演=
モーツァルト歌劇「フィガロの結婚」~指揮:リッカルド・ムーティ
神奈川県民ホール
11月10日(木) 17:00
11月13日(日) 15:00
11月15日(火) 15:00
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年10月02日 00:00