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ブーレーズが1964年に振ったバロック・オペラ“イポリートとアリシ”が発掘。鮮明なステレオ録音です!

ブーレーズ2

ブーレーズ追悼シリーズとして、ALTUS からまたまた貴重な音源が登場します。何とバロック・オペラを振ったライヴが、クリアなステレオ録音でお聴き頂けます!曲は50歳を迎えたラモーがついに本腰を入れてオペラに挑んだその1作目にして最高傑作の呼び声高い『イポリトとアリシ』。ブフォン論争を白熱させるほどに卓越した和声法と管弦楽法が駆使されたこのラモーの名作は、モダン楽器による力強い演奏にも十分耐えうる迫力と適応力を持っています。
収録されているのはラモー没後200年にあたる1964年に行われたシャンゼリゼ劇場でのライヴ。曖昧さのないブーレーズの指揮が巧みな情景描写や躍動的な舞曲をさらに引き締まったものにし、心地よい緊張感と推進力を生み出しています。物語後半の悲劇的な調子も媚びたところがなく高潔で堂々としていて迫真の出来。歌手陣はヤカールを始めフランスの実力者ぞろい、美しいフランス語による朗々とした歌唱が胸に響きます。部分的なカットも物語や音楽の本質を見据えたもので、じっくりと音楽に集中できる形と言えましょう。
解説書にはあらすじの他トラック別の大意を掲載。2016 年に没したブーレーズ追悼の気分を高めつつ、ラモーの魅力再発見にもつながる大注目盤です。
(キングインターナショナル)

【収録曲目】
ラモー
歌劇「イポリートとアリシ」(1733)
【演奏】
イポリト:ジェラール・デュナン(オート・コントル)
アリシー:ラシェル・ヤカール(ソプラノ)
フェードル:リーズ・アルスゲ(メゾ・ソプラノ)
テゼ王:ルイ・モーラン(バス)
エノーヌ:シュザンヌ・ラファイエ(ソプラノ)
プリュトン/ネプトゥーヌ:ロジェ・ソワイエ(バス)
ディアーヌ:ベルト・カル(ソプラノ)
ティジフォヌ/メルキュール:ミシェル・ハメル(テノール)
女羊飼い:シルヴェンヌ・ジルマ(ソプラノ)

ピエール・ブーレーズ(指揮)
フランス国立放送管弦楽団
フランス国立合唱団
【録音】
1964年10月13日、シャンゼリゼ劇場、ステレオ・ライヴ録音

1958年から指揮活動を開始したピエール・ブーレーズが、本格的なオペラ指揮者としてのデビューを飾ったのは1963年、ベルクの“ヴォツェック”でした。いかにも前衛音楽の旗手として鳴らしていた若きブーレーズらしい選曲ですが、その翌年に取り上げたのが、このラモーのバロック・オペラだったのです。1964年がラモー没後200年の記念年とはいえ、なぜブーレーズが“イポリートとアリシ”なのか? その答えは、このオペラが切っ掛けの一つとなった、フランス音楽界を二分する大論争にあったのではないでしょうか。
バロック時代のフランス・オペラのスタイルは、17世紀後半にリュリによって確立されました。ストーリーは悲劇であること。構成は序曲・プロロークと5幕によること。ラモーが50歳にして初めて作曲したオペラ“イポリートとアリシ”もまた、この伝統的な型をしっかりと守っています。しかし、あまりにも盛り込まれた内容が濃すぎました。すでに音楽理論家としての名声を得ていたラモーは、従来のレシタティーヴォのスタイルだけでは飽き足らずに、画期的なアリアとダンスの融合を試みたのです。世に名高いルソーとラモーを中心に戦われたブフォン論争(1752-54)は、ペルゴレージの“奥様女中”の上演に端を発しますが、その前提にあったのが和声理論と、このダンサーに過酷な跳躍を要求するラモーのダンス音楽書法でした。ラモーの“イポリートとアリシ”は、保守的な音楽人からすれば明らかにオペラの革命だったのです。前衛音楽の理論家としてブーレーズは、そんなラモーに自らの先駆けを見出したのでしょう。
日本の音楽ファンにとっては、2003年に寺神戸亮&レ・ボレードの面々が北とぴあ音楽祭で上演した“イポリートとアリシ”が強烈な印象となっていますが、この若きブーレーズが前衛の観点から演奏したラモーもまた、21世紀に音楽ファンに強いインパクトを与えてくれることでしょう。
(タワーレコード)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2016年10月26日 00:00