ラウテン・カンパニーによるヘンデル=レオナルド・ヴィンチ:歌劇“見捨てられたディドーネ”
天才台本作家メタスタージオによる物語『見捨てられたディドーネ』。トロイア王と女神アフロディーテの間に生まれた王子エネーアは、トロイア戦争で敗北したのをきっかけに、北アフリカ沿岸のカルタゴに漂着し、女王であるディドーネと出会います。そこで2人は相思相愛になりますが、トロイアの再建のために、ディドーネを見捨て、7年もの放浪をした末にイタリアにたどり着き、ここの王女と結婚することとなり、ローマ帝国の礎を創り上げました。一方のディドーネは悲しみの果てに、燃え盛る炎に身を投げてしまいます。
この物語によるメタスタージオの台本には、ガルッピやハッセ、パイジェッロをはじめとし、50人とも100人ともいわれる作曲家が曲を付けたそうで、当時の人気の高さがうかがえます。その中で有名な曲は、レオナルド・ヴィンチ(1960-1730)のものでした。ヴィンチは1724年にこの曲を作曲し(初稿盤)、ヴィンチとメタスタージオとの実りある協力の始まりの作品だったのでした。
ヘンデルはこの曲の編集を手伝っていたそうで、この曲を実際に知っていました。1737年にロンドンで演奏を試みますが、ロンドンの聴衆にうけるための話の内容変更、歌手たちのわがまま、そのために変更された匿名の台本が使用できなかったことにより、ヘンデルはパスティッチョ仕様でこの曲を作り上げたのでした。ヴィンチによる13のアリア、ジャコメッリ、ヴィヴァルディ、ハッセ等の作曲家による9つのアリアを寄せ集めたものとなっています。
リュート奏者ヴォルフガング・カチュナー率いるラウテン・カンパニーは、いわゆるピリオド楽器演奏とは一味違い、当時の音楽を現代に蘇えらせることに主眼を置いていて、様々なソリストたちを取り込み、多様な編成で演奏活動を行なっています。表現力に長けた歌手らが脇を固め、カチュナーとラウテン・カンパニーによる説得力の高い緊密なアンサンブルは、このオペラの再構成とともに新しい生命を吹き込んでいます。
(ソニーミュージック)
【収録予定曲】
ヘンデル=レオナルド・ヴィンチ:歌劇『見捨てられたディドーネ』
【演奏】
ロビン・ヨハンセン(ソプラノ)
オリヴィア・フェルミューレン(メゾ・ソプラノ)
ポリーナ・アーチス(メゾ・ソプラノ)
ユリア・ベーメ(アルト)
アントニオ・ジョヴァンニーニ(カウンターテナー)
ナムウォン・フ(テノール)
ラウテン・カンパニー
ヴォルフガング・カチュナー(指揮)
【録音】
2016年11月22-25日、ベルリン=ブランでブルク放送局ザール3
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2018年04月23日 00:00