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アロルド・ロペス・ヌッサ(Harold López-Nussa)、ニュー・アルバム『Un Dia Cualquiera』

Harold López-Nussa

Photo: Gabriel Bianchini

 

キューバの重鎮ピアニスト、エルナン・ロペス・ヌッサを叔父に持ち、キューバ・ジャズシーンで注目を浴びているジャズ・ピアニストの一人。2005年モントルー・ジャズ・ソロ・ピアノ・コンペティションで優勝し、一躍知名度を上げた。日本には「東京JAZZ」やジャズクラブでの公演で何度も訪れており、その存在感をアピールしている。

『Un Dia Cualquiera (Just Another Day)』と題された本作は、ベースが、前作『エル・ビアッヘ』に参加していたセネガル出身のアリュンヌ・ワッドゥからガストン・ホヤに代わって、サウンドが大きく変化。アリュンヌのヴォーカルをフィーチャーしたキューバと世界の音楽を融合するポップな展開から、キューバ人3 人のトリオ編成となった演奏は、一聴、スペクタクルなピアノ・トリオに様変わり!まばゆいばかりの超絶技巧で弾きまくる展開は、正に圧巻。キャッチーなリフをパワフルに決める演奏は、上原ひろみさん以降のピアノ・トリオの一つの形ともいえますが、超高速演奏のリフをユニゾンで決めて行くテーマあり、アドリブを弾き倒すオープニングだけで、圧巻そのものです!

しかし、基礎にあるのはもちろん3 人の母国キューバの音楽。自らのオリジナル曲も織り込みつつ、キューバで生まれた数々の曲をアレンジ。エルネスト・レクオーナのDanza de los Nanigos( アフロ・キューバ舞曲集 ニャニゴスの踊り)や、Y la Negra Bailaba( アフロ・キューバ舞曲集 そして、黒人が踊っていた)といったナンバーも収録するほか、母国のベボ・ヴァルデスのピアノの世界に敬意を払ったナンバーも。また5曲目「Elegua」ではヨルバの神に捧げた歌やバタ・ドラムの音楽を、ジャズのトリオ・フォーマットで表現するという試みあり、ラストはベボ・ヴァルデスの演奏にインスパイアされたものとのこと。そして、10曲目は、キューバが生んだシンガー・ソングライター、セサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルスのボレロのナンバーですが、この曲は、生きる伝説オマラ・ポルトゥンドの歌唱によって影響を受けた楽曲なのだそうです。

キューバの情熱あり、哀愁あり、母国の音楽に再び深く立脚し、自らの基礎であるクラシック音楽の要素も時おり融合させつつ、ジャズ的な即興のピアノ・トリオで表現した一作。ちなみにタイトルが表すのは「いつもどおりの日 (Just Another Day)」とのこと。新たな展開/ 日常が、このあとどのように発展していくのか、楽しみです。

国内盤仕様:日本語帯、解説付

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【収録曲】
1. Cimarron (3:51)
2. Danza de los Nanigos (4:29)
3. Una Tarde Cualquiera En Paris (to Bebo Valdes) (4:48)
4. Preludio (to Jose Juan) (3:28)
5. Elegua (5:06)
6. Hialeah (3:32)
7. Ma petite dans la Boulangerie (3:56)
8. Y la Negra Bailaba (4:01)
9. Conga Total / El Cumbanchero (3:39)
10. Contigo en la Distancia (5:47)
11. Mi Son Cerra'o (4:47)

【メンバー】
Harold Lopez-Nussa (p)
Gaston Joya (b)
Ruy Adrian Lopez-Nussa (ds)

掲載: 2018年06月13日 10:38