イディッシュ・カバレット~エルサレムSQが戦前のポーランド・ユダヤ人の流行歌を再創造!
戦前のドイツ、ポーランドで華開いた
キャバレーソングにエルサレムSQが挑戦!
弦楽四重奏のスタンダード・レパートリーで高い評価を受けるエルサレム四重奏団が、ハルモニア・ムンディから「ちょっと変わっていながら、聴き手の興味をひくものに挑戦してみては?」と勧められ実現したルーツ捜し音楽集。
戦前のポーランドは世界最大のユダヤ人口をかかえ、学問、芸術の分野で最先端であっただけでなく、1918年頃から1933年まで華開いたドイツのワイマール文化を牽引したのもユダヤ系で、一世を風靡したカバレット(キャバレー)ソングなどは、ユダヤ文化爛熟例でした。第2次世界大戦のホロコーストで姿を消しましたが、ハリウッドやブロードウェイへ場所を変え、ボードビルやミュージカルへと発展する要素となりました。
当時のポーランド・ユダヤ人のストリート・ミュージックを現在の視点で見るため、現代ロシアの作曲家レオニード・デシャトニコフに流行歌をソプラノと弦楽四重奏用に再創造するよう委嘱、生まれたのが「イディッシュ」。弦のための革新的な書法がユダヤの歌に現代的な命を吹き込んでいます。
その縁取りを明瞭にするため、当時活躍したふたりのユダヤ系作曲家コルンゴルトとシュルホフの作品を収録。ナチスの台頭により前者はアメリカへ渡り映画音楽の世界で成功、後者は強制収容所に送られ48歳の命を散らしました。ここに収められた2篇は、ワイマールのカバレットソングを彼らのやり方でクラシック作品化したもので、独特の雰囲気に酔わされます。
エルサレム四重奏団もクレズマーさえ彷彿させるねちっこい音色で濃い世界を再現。ワールドミュージック好きにも超オススメです。
(キングインターナショナル)
曲目】
(1)コルンゴルト:弦楽四重奏曲第2番Op.26(1933)
(2)シュルホフ:弦楽四重奏のための5つの小品(1923)
(3)デシャトニコフ:イディッシュ~ヴォーカルと弦楽四重奏のための5つの歌
【演奏】
ヒラ・バッジオ(ソプラノ)
エルサレム四重奏団
[アレクサンドル・パヴロフスキー(第1ヴァイオリン)、
セルゲイ・ブレスレル(第2ヴァイオリン)、
オリ・カム(ヴィオラ)、
キリル・ズロトニコフ(チェロ)]
【録音】
2018年12月/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2019年05月14日 00:00