【MEMBRAN】巨匠的なテクニックと広大なレパートリー『シューラ・チェルカスキー名演集』(10枚組)
一日4時間の練習で晩年まで旺盛な演奏活動を行ったピアノの名手
巨匠的なテクニックと歌うようなフレージング
チェルカスキーの芸術とレパートリーの幅広さを捉えた好選曲の一組!
シューラ・チェルカスキー (1909年10月7日 - 1995年12月27日)は、ロマンチックなレパートリーの演奏で有名なアメリカのピアニストでした。 彼の演奏は、巨匠的なテクニックと歌うようなフレージングに特徴がありました。
チェルカスキーはウクライナのオデッサ(当時はロシア帝国の一部)で生まれました。チェルカスキーの家族はロシア革命を脱れるためアメリカへ亡命しました。彼の家族はユダヤ人でした。最初のピアノ・レッスンは、かつてサンクトペテルブルクでチャイコフスキーのために演奏した彼の母親、リディア・チェルカスキーから受けました。渡米後はカーティス音楽院でヨゼフ・ホフマンに師事しました。ホフマンは彼に毎日4時間練習することを勧め、チェルカスキーは生涯を通してこの教えを守り、バロック音楽から同時代音楽まで、驚異的に幅広いレパートリーをこなすテクニックを維持し続けました。ホフマンへの師事は1935年まで続きました。
チェルカスキーのコンサートキャリアは戦前から始まっており、アメリカ国内のみならず、ロシアを含むヨーロッパ各国、オーストラリア、ニュージーランド、極東を演奏旅行し、1935年には早くも初来日しています。戦後も度々来日したので、日本の聴衆にはお馴染みのピアニストでした。
1940年代にチェルカスキーはカリフォルニアに拠点を移し、バルビローリやストコフスキーなどの大指揮者と共にハリウッド・ボウルに出演しました。また、ストラヴィンスキーの前で、《ペトルーシュカ》からの3楽章を弾き、作曲者から直々にアドバイスを受けています。
1949年、ハンブルクでシュミット=イッセルシュテット指揮、北ドイツ放送交響楽団と共演したラフマニノフの《パガニーニの主題による狂詩曲》が大成功をおさめ、ドイツとオーストリアでの人気が高まり、ザルツブルク音楽祭への出演に繋がりました。1957年3月27日のウィグモアホールでのリサイタルの後、チェルカスキーのキャリアはイギリスで加速し、1961年にニースで母親が亡くなった後、1995年に亡くなるまでホワイトハウス・ホテルに住んでいたロンドンに定住しました。彼はロンドンのハイゲート墓地に埋葬されています。
彼の録音キャリアは1920年代に始まって、以後70年以上にわたっています。キャリアの前半はRCAビクター、VOX、スウェーデンのCupol、HMV、DGへ、キャリアの後半はTudor、Nimbus、Deccaへ録音しました。彼は死の7か月前の1995年5月17日、85歳で最後の録音をしました。英デッカへのラフマニノフのピアノ小品5曲で、これは前年11月に録音したラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のカップリング曲でした(Decca PROC-1098)。
この廉価BOXには、マイクロフォンが開発される前、ラッパで集音していた1923年録音のベートーヴェン:エコセーズから、1961年ステレオ録音のリスト:ハンガリー幻想曲(カラヤン指揮ベルリン・フィル共演)まで、彼のキャリアの前半期の名演がセレクトされています。フランス・バロック作品のラモーから自作曲まで収録曲目が幅広いことも、上記した彼のレパートリーの特徴を示しています。チェルカスキーという20世紀の名ピアニストの芸術を知る上で、非常に便利な一組と言えるでしょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
【曲目】
Disc. 1
ショパン:12の練習曲Op.10
1953年~1955年録音
ショパン:幻想曲Op.49、マズルカ第23番Op.33-2
1950年録音
Disc. 2
ショパン:12の練習曲Op.25、3つの新しい練習曲
1953年~1955年録音
リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想 S418
1953年録音
Disc. 3
シューベルト:ピアノソナタ第20番D.959
シューマン:3つの幻想小曲集Op.111
リスト:半音階的大ギャロップ
1960年録音
ショパン:幻想即興曲Op.66
リスト:愛の夢第3番
1958年録音
Disc. 4
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
レオポルト・ルートヴィヒ指揮、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1951年録音
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲Op.35
1953年録音
Disc. 5
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番
リヒャルト・クラウス指揮、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1955年録音
ショパン:スケルツォ第4番
1951年録音
Disc. 6
リスト:ピアノ協奏曲第2番
アナトール・フィストゥラーリ指揮、
フィルハーモニア管弦楽団
1952年録音
ショパン:ポロネーズ第5番Op.44、バラード第4番Op.52
1953年録音
Disc. 7
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
ハーバート・メンゲス指揮、
フィルハーモニア管弦楽団
1954年、1955年録音
Disc. 8
リスト:ハンガリー狂詩曲第15番、第6番
1953年録音
リスト:交響詩「マゼッパ」
リスト:ハンガリー狂詩曲第5番、第4番
リスト:ハンガリー幻想曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1960年、1961年録音
Disc. 9
ラフマニノフ:チェロソナタOp.19
マルセル・ユベール(Vc)
1934年、1935年録音
メンデルスゾーン:狩人の歌Op.19-3
ラモー(ゴドフスキー編):タンブラン
1925年録音
アンリ・リトルフ(1818-1891):交響的協奏曲第4番Op.102よりスケルツォ
マルコム・サージェント指揮、
BBC交響楽団
1959年録音
ベートーヴェン:エコセーズ変ホ長調
1923年録音
チェルカスキー:悲愴的前奏曲
1928年録音
Disc. 10
POPULAR PIANO RECITAL
リスト:ハンガリー狂詩曲第13番
ベートーヴェン:バガテルOp.119-1
リスト:グノーの歌劇「ファウスト」のワルツ
サン・サーンス(ゴドフスキー編):白鳥
リャードフ:音楽の玉手箱Op.32
アブラム・チェイシンズ(1903-1987):3つの中国の小品Op.5より
プーランク:3つの小品よりトッカータ
ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ
1955年、1956年録音
メンデルスゾーン:3つの幻想曲、またはカプリスOp.16よりスケルツォ
1953年録音
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2019年05月22日 00:00