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フィルクスニー/RCA & コロンビア・コンプリート・アルバム・コレクション(18枚組)

フィルクスニー

「ピアニストの中の貴族」と賞された名匠ルドルフ・フィルクスニー。
没後25年を機に、コロンビアとRCAに残されたかけがえのない名演を18枚のディスクに集大成。
世界初CD化多数。

「チェコのピアノ曲で、フィルクスニーの演奏を聴いたことがなければ、それらの作品の真の意味合いと価値をまだ耳にしていない、ということだ」と評されたチェコの名ピアニスト、ルドルフ・フィルクスニー(1912 − 1994)。フォルムを崩さず自然な解釈で作品の核心に静かに到達する演奏は、世界中の音楽ファンから高く評価されました。その滋味あふれる演奏は、モーツァルト、シューベルトやシューマン、そして何よりもチェコ音楽において、オーセンティシティの極みともいえ、室内楽も得意としたその音楽性は同僚の音楽家からも慕われるほどでした。
当18枚組はフィルクスニーがコロンビアとRCAに残した録音を集大成したもので、最晩年のRCA録音(CD11~18)の音楽的感銘の深さは改めて申し述べるまでもありませんが、特に貴重なのは今回そのほとんどが初めてCD化されることになるモノラル時代のコロンビア録音(CD1~7)といえましょう。
フィルクスニーの初録音は1949年にコロンビアのニューヨーク30丁目スタジオで収録されたシューマンの「幻想曲」と「子供の情景」(CD1)で、それ以後、1954年までLP7枚分を録音しています。ここにはモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパンのほか、フィルクスニーが初演したアメリカのサミュエル・バーバーやハワード・ハンソンの初録音までが含まれています。名手トッシー・スピヴァコフスキーとのデュオ・アルバムも、コレクターが血眼になって探していたレコード(CD3)で、正規録音が極めて少ないこのヴァイオリニストの貴重な遺産としても高い意味合いを持っています。
1953年には、当時としては非常に珍しいものの、フィルクスニーの音楽活動とは切っても切れない師ヤナーチェクのアルバム(CD6、フィラデルフィア管の首席奏者と共演したコンチェルティーノを含む)を世に問い、さらに翌年には盟友ジョージ・セル指揮するクリーヴランド管弦楽団とのドヴォルザークのピアノ協奏曲を、フィルクスニーの師ヴィレム・クルツによって改訂されたソロ・パート版によって録音しています(CD7)。フィルクスニーは、セルとはこの曲を1933年に初共演しており、戦後はクリーヴランド管のほか、ヨーロッパでも共演を重ね、ソリストの選定には極めて厳しかったセルが共演を切望する数少ないピアニストの一人でもあったのです。コロンビアにはその21年後に、ジュリアード弦楽四重奏団とドヴォルザークのピアノ四重奏曲2曲を録音しており、これもアナログ時代の名盤として知られています(CD10)。
RCAには1965年に、20世紀最大のチェリスト、ピアティゴルスキーとショパンおよびプロコフィエフのソナタでの共演盤を1枚(CD8)残した後、さらにCD時代に入っていた1988年から専属契約を結び、その晩年の、深まりゆく芸境を音に刻んだのでした。その皮切りとなったマルティヌーのピアノ作品(CD11)は、その収録曲のほとんどがフィルクスニーのために書かれたもので、作曲者直伝とでもいうべき貴重なアルバムです。同じ年、フロール/フィルハーモニア管と共演したフランク「交響的変奏曲」が録音され(CD12)、さらに名門リッジ四重奏団とのドヴォルザークのピアノ五重奏曲2曲(CD14)、ノイマン/チェコ・フィルという黄金コンビとのドヴォルザークのピアノ協奏曲再録音(CD15、今回は作曲者の原典版による)、日本でも1991年にレコード・アカデミー賞を受賞した、マルティヌーのアルバムと対をなすヤナーチェクのピアノ作品集(CD13)、チェコの名花、ベナチコヴァーの伴奏を務めた歌曲アルバム(CD17)など、滋味深い名演が次々と録音されました。
さらにシュタルケルと共演したチェロ・ソナタ2曲(CD16)、そして遺作アルバムとして没後に発売されたペシェク/チェコ・フィルとのピアノ協奏曲3曲(CD18)と、まるでその音楽活動の円環を閉じるかのように、師マルティヌーの作品の録音を残しているのも、フィルクスニーらしいといえましょう。
各ディスクは初出時のジャケット・デザインによるペーパー・スリーヴに収められ、オールカラーの別冊解説書とともに、厚紙製クラムシェル・ボックス(L13.5cm x W13.5cm x 4.5cn)に収納される予定です。別冊解説書には詳細な録音データを完備したトラックリスティングのほか、新規エッセイ、貴重な写真なども掲載されています。
(ソニーミュージック)

ルドルフ・フィルクスニー(1912 − 1994)プロフィール
フィルクスニーは、チェコのピアニスト。幼い頃から神童ピアニストとして知られ、5歳の時には作曲家ヤナーチェクと出会い、その才能を認められた。ブルノ音楽院とプラハ音楽院で学び、10歳でピアニストとしてデビュー。1933年のロンドン・デビュー以後、国際的な演奏活動を開始したが、チェコがナチス・ドイツの占領下となった1938年にパリ経由でアメリカに亡命した。ジュリアード音楽院で教鞭をとるかたわら、幅広い演奏活動を行う。日本にも1978年の初来日以来何度もツアーを行った(菅野沖彦による日本録音もある)。レパートリーは幅広いが、やはりチェコ音楽、特に直接教えを受けたヤナーチェク、チェコからの亡命者で苦労を共にしたマルティヌーの演奏解釈は他の追随を許さない。

【収録内容】
<CD1>
シューマン:
1-3. 幻想曲ハ長調Op.17
4. トロイメライ Op.15-7
[録音]1949年2月3日、6月20日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD2>
1. モーツァルト:幻想曲ハ短調K.475
2. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457
3. モーツァルト:幻想曲ハ短調K.396
4-9. ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調Op.58
[録音]1950年3月20-21日、11月21日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD3>
1. クライスラー:ウィーン奇想曲 Op.2
2. チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ Op.34
3. パガニーニ:ヴァイオリン・ソナタ ト長調Op.3-2
4. パガニーニ:カプリース第24番 イ短調Op.1-24
5. サラサーテ:序奏とタランテラ Op.43
6-9. ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調Op.96
[共演]トッシー・スピヴァコフスキー(ヴァイオリン)
[録音]1949年5月17日、1950年5月8-9日、5月29日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD4>
1. バーバー:ノックスヴィル - 1915年の夏 Op.24
2-5. バーバー:遠足 Op.20
6-9. ハワード・ハンソン:ピアノ協奏曲ト長調Op.36
[共演]ハワード・ハンソン(指揮)イーストマン=ロチェスター管弦楽団(6-9)
[録音]1950年11月20日(1-5)、1950年12月19日(6-9)、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD5>
1-4. シューベルト:4つの即興曲D.899, Op.90
5-8. シューベルト:4つの即興曲D.935, Op.142
[録音]1951年10月31日(1-4)、1952年2月9日(5-8)、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD6>
ヤナーチェク:
1-10. 草かげの小径にて 第1集
11-12. ピアノ・ソナタ 変ホ短調「1905年10月1日 街頭にて」
13-16. 霧の中で
17-20. コンチェルティーノ
[共演]ジェイコブ・クラチマルニック(ヴァイオリン)、デイヴィッド・マディソン(ヴァイオリン)、サミュエル・リフシー(ヴィオラ)、フィラデルフィア木管五重奏団員 (17-20)
[録音]1953年5月21-22日(1-12)、1953年10月20日(13-16)、1954年6月23日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD7>
1-3. ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲ト短調Op.33
[共演]ジョージ・セル(指揮)クリーヴランド管弦楽団
[録音]1954年4月9 & 11日、クリーヴランド、セヴェランス・ホール
<CD8>
1-4. ショパン:チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
5-7. プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119
[共演]グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)
[録音]1965年7月21-22日、ハリウッド
<CD9>
ドヴォルザーク:
1-4. ピアノ五重奏曲イ長調Op.81
5-9. パガテルOp.47(2つのヴァイオリン、チェロ、ハーモニウムのための)
[共演]ジュリアード弦楽四重奏団、ルドルフ・フィルクスニー(ハーモニウム:5-9)
[録音]1975年10月2-3日(1-4)、1976年5月14日(5-9)、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD10>
ドヴォルザーク:
1-4. ピアノ四重奏曲第1番ニ長調Op.23
5-9. ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調Op.87
[共演]ジュリアード弦楽四重奏団員
[録音]1976年5月27-28日(1-3)、1975年9月30 & 10月14日日(4-7)、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD11>
マルティヌー:
1-6. リトルネッロ集 H.227
7-8. 幻想曲とトッカータ H.281
9-11. ピアノ・ソナタ第1番 H. 350
12. 歌劇「ジュリエッタ」より モデラート
13-21. 練習曲集とポルカ集H.308 より〔練習曲ハ長調,ポルカ ヘ長調,練習曲イ長調,パストラーレ,練習曲ヘ長調,ポルカ ホ長調,ポルカ ニ長調,ポルカ イ長調,練習曲ヘ長調〕
[録音]1988年6月23, 24, 27日、ニューヨーク、RCAスタジオ
<CD12>
フランク:
1-3. 交響曲ニ短調 FWV.48
4-6. 交響的変奏曲 FWV.46
[共演]クラウス・ペーター・フロール(指揮)ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]1988年5月1-2日、ヘンリー・ウッド・ホール(1-3)/ 1989年5月14-15日、ロンドン、EMIスタジオ(4-6)、
<CD13>
ヤナーチェク:
1-2. ピアノ・ソナタ 変ホ短調「1905年10月1日 街頭にて」
3-12. 草かげの小径にて 第1集
13-17. 草かげの小径にて 第2集
18. 思い出
19-22. 霧の中で
[録音]1989年6月5-7日、ニューヨーク、RCAスタジオ
<CD14>
ドヴォルザーク:
1-4. ピアノ五重奏曲第2番イ長調Op.81
5-7. ピアノ五重奏曲第1番イ長調Op.5
8. ユーモレスク 変ホ長調 Op.101-1
9. 我が母の教えたまいし歌 Op.55-4
10. ピアノ三重奏曲第4番ホ短調Op.90「ドゥムキー」 より第5楽章
[共演]リッジ弦楽四重奏団(1-7)、フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾ・ソプラノ:9)、イツァーク・パールマン(ヴァイオリン:10)、ヨーヨー・マ(チェロ:10)
[録音]1990年3月1-3日、6-8日、ニューヨーク、アメリカ文学芸術アカデミー芸術院(1-7)/ 1993年12月16日、プラハ、スメタナ・ホール(8-10)
<CD15>
1-3. ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲ト短調Op.33
[共演]ヴァーツラフ・ノイマン(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]1990年12月19-20日、プラハ城、スパニッシュ・ホール
4-7. ヤナーチェク:コンチェルティーノ
8-11. ヤナーチェク:カプリッチョ
[共演]Josef Kroft (ヴァイオリン)、Jan Buble(ヴァイオリン)、Jan Marek(ヴィオラ)、Zdenek Tesar(クラリネット)、Ivan Doksansky(クラリネット)、Jiri Seidl(ファゴット)、Zdenek Tylsar(ホルン)、Radomir Pivoda(フルート&ピッコロ)、Zdenek Sedivy(トランペット)、Jiri Sedivy(トランペット)、Jaroslav Lisy(トロンボーン)、Jiri Odcházel(トロンボーン)、Ludvik Bortl(トロンボーン)、 Jaroslav Tachovsky(テナー・テューバ)
[録音]1991年6月8-10日、プラハ、スプラフォン・スタジオ
<CD16>
マルティヌー:
1-3. チェロ・ソナタ第1番 H.277
4-6. チェロ・ソナタ第2番 H.286
7-9. チェロ・ソナタ第3番 H.340
[共演]ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)
[録音]1990年10月8, 9, 11日、ニューヨーク、RCAスタジオ
<CD17>
1-4. ドヴォルザーク:歌曲集『愛の歌』Op.83 より「愛は私たちを幸せな結末には導かない」「死は、多くの人の心を支配する」「私はあなたへの愛を知っている」「あなたの甘いまなざしが私の上におちるとき」、
5-11. ドヴォルザーク:歌曲集『ジプシーの歌』Op.55
12-18. マルティヌー:歌曲集『1ページの歌曲集』H.294
19-22. ヤナーチェク:『モラヴィアの民俗歌曲』より第19, 29, 47, 27番
23-26. ドヴォルザーク:『民謡風の歌曲』Op.73
27-29. ドヴォルザーク:『聖書の歌』Op.99より第5, 7, 10番
[共演]ガブリエラ・ベニャチコヴァー(ソプラノ)
[録音]1991年4月1-3日、ニューヨーク、マンハッタン・センター
<CD18>
マルティヌー:
1-3. ピアノ協奏曲第2番 H.237
4-6. ピアノ協奏曲第3番 H.316
7-8. ピアノ協奏曲第4番「呪文」H.358
[共演]リボール・ペシェク(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]1993年6月14-20日、プラハ、ルドルフィヌム

【演奏】
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2019年08月16日 12:00