ゲルギエフと初演ゆかりのミュンヘン・フィルによるマーラー:交響曲第8番“千人の交響曲”
マーラーの大作「交響曲第8番」が初演されたのは「ミュンヘン博覧会1910」と題された音楽祭でした。ほぼ4か月間に渡る大規模な音楽祭のメインイベントとして企画され、9月12日、13日ともに3000枚の切符が初演2週間前には売り切れたというほどの人気を獲得しました。もちろん初演は大成功。嵐のような熱狂が30分近くも続き、マーラーにとっても記憶に残る勝利の瞬間だったのです。
この初演を担ったのが、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の前身であるカイム管弦楽団であり、以降、マーラーの第8番交響曲はオーケストラにとっても大切な作品となり、幾度となく演奏され続けています。とりわけ、2018/2019年のオーケストラ創立125周年記念シーズンでは複数回のコンサートが開催された中の一つで、フィルハーモニー・ド・パリでのライヴが、このアルバムに収録されたものとなります。
「千人の交響曲」とも呼ばれるほど大規模な編成を持つだけでなく、至るところに複雑な対位法が仕組まれたマーラーの作曲技法が極限まで駆使されたこの作品、全てを掌握するのは指揮者にとっても大変ですが、オペラを得意とするゲルギエフは、物語の流れを重視し、聴き手をぐいぐいと作品に引き込んでいきます。とりわけ第1部での厳格なフーガでの息を飲むような迫力はゲルギエフならではの仕上がり。第2部でもゲーテの「ファウスト」の最後の情景が迫真の響きで描かれていきます。独唱者、合唱、オーケストラ、全ての奏者たちの持てる力を集結した素晴らしい演奏です。
(ワーナーミュージック)
【収録曲】
マーラー:交響曲第8番 変ホ長調「千人の交響曲」
【演奏】
カタリーナ・マギエラ(メゾ・ソプラノ)
クラウディア・マーンケ(メゾ・ソプラノ)
レグラ・ミューレマン(ソプラノ)
ミヒャエル・ナジ(バリトン)
エフゲニー・ニキーチン(バス)
サイモン・オニール(テノール)
ジモン・シュナイダー(ソプラノ)
ジャクリーン・ワグナー(ソプラノ)
オルフェオン・ドノスティアラ合唱団
アウグスブルク大聖堂少年合唱団
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
【録音】2019年2月17日、フィルハーモニー・ド・パリでのライヴ
【マスタリング】クリストフ・スティッケル
カテゴリ : ニューリリース | タグ : GUSTAV MAHLER
掲載: 2019年10月25日 12:00