ベルリン・フィル伝説のコンサートマスター・ゲルハルト・タシュナーのライヴ2タイトルがLP化!
タシュナーのTAHRA音源が初LP化!
ベルリン・フィル伝説のコンサートマスター
第3集ゲルハルト・タシュナー ベルリン・フィルとの協奏曲編
第4集ゲルハルト・タシュナーとギーゼキング、ファルナディによるベートーヴェン
LP用にリマスターを施し、アナログのマスターテープを作った上でLP化!
いま、あらためて、ゲルハルト・タシュナー(1922~1976)
1941年、第2次世界大戦中の困難な時期に最年少のコンサートマスターとして名門ベルリン・フィルに招かれたのがシレジア出身の19歳、ゲルハルト・タシュナーでした。
タシュナーはブダペストで名伯楽フーバイに、そしてウィーンで鬼才フーベルマンに師事。大指揮者のアーベントロートとフルトヴェングラーに見いだされて戦中、戦後のベルリンでコンサートマスターとして、協奏曲のソリストとして、そして室内楽奏者として華々しく活躍しました。1950年からは演奏活動と並行して西ベルリンのベルリン音楽大学で教鞭をとりましたが、1960年代に入り背中を故障すると演奏活動を断念し、教育活動に専念しました。この頃からタシュナーは精神的に不安定となり、アルコール依存症がすすみ、1976年に54歳で早世しました。
彼が活躍したのが戦中戦後の混乱期の1940~50年代だったことと、根っからの録音嫌いで商業録音を僅かしか残さなかったため、長い間日本では、彼の名はほとんど知られていませんでした。しかし、2000年頃から海外で彼が残した放送録音のCD化が進み、それらが日本に入ってきたことで、彼の極めて個性的な演奏が日本でも知られるようになりました。
思えば、1930年代初頭まのベルリンは世界のヴァイオリン演奏の中心地でした。個性派のクライスラーとフーベルマンが覇を競い、ゴールドベルクが新即物主義的な演奏で新たな美を世に問い、教育の分野ではフレッシュ、ブッシュ、クーレンカンプがプロフェサー=ヴァイオリニストとしてメニューインやシェリングなど世界から集まった次世代の奏者を育成していました。
これを見事に破壊したのが1933年に成立したナチス政権で、上記した奏者のうちクーレンカンプ以外は全員ドイツを追放されたか自発的に去ったため、クーレンカンプ一人に重い責任がのしかかる状況となったのです。そこへ登場したのが、ナチスが追放したフーベルマンに学んだタシュナーだったのいうのは何とも皮肉なことです。
フーベルマンの表現主義的ともいえる超濃厚な演奏スタイルは、タシュナーの登場によりベルリンに再び帰ってきた訳ですが、そのタシュナーも早く引退。その精神的な後継者は結局生まれることがありませんでした。
先のクーレンカンプも戦後すぐに亡くなったため、1930年代初頭に様々な演奏スタイルが百花繚乱とばかりに咲き誇ったベルリンのヴァイオリン芸術は、いったん伝統の断絶を余儀なくされた訳です。1960年代生まれのムターやテツラフ、ツィンマーマンの登場によりドイツのヴァイオリン界は再び活況を呈していますが、裏を返せば戦前の活況を取り戻すのに半世紀近くもかかったことになります。
タシュナーの録音は、伝統の断絶ののち、まだ復興していない演奏スタイルを現代に伝える掛け替えの無い「架け橋」と言えるでしょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
アーベントロート、フルトヴェングラーに認められた逸材
タシュナーがベルリン・フィルをバックに弾いた協奏曲2題
MELOLP-017/8、MELOLP-019/20に続くベルリン・フィルのコンサートマスターに焦点を当てたシリーズ、今回はTAHRAレーベルから、ゲルハルト・タシュナーの音源を初LP化!LP用にリマスターを施し、アナログのマスターテープを作った上でLP化しております。第3集はショルティ指揮のベートーヴェン、マタチッチ指揮のドヴォルザークを収録した協奏曲アルバム。ベルリン・フィルをバックにタシュナーの力強いソロが飛翔します。マタチッチとのドヴォルザークは、放送局の資料が混乱し演奏者不明となっていたりフルトヴェングラー指揮となっていたりしていた音源のようで、TAHRA社主のトレミーヌ氏が演奏会記録と付け合わせタシュナー、マタチッチの演奏と判断し発売したもの。その過程も解説書で日本語訳されていて興味深い内容です。
ゲルハルト・タシュナーはチェコスロヴァキアとポーランドの国境に位置するイェーゲルンドルフ(現クルノフ)生まれ。母親は卓越したヴァイオリニストでした。1929年プラハで弱冠7歳にしてデビュー。イェネー・フバイ、ブロニスラフ・フーベルマンらに師事。若き才能を見出したアーベントロートに紹介されてフルトヴェングラーと出会い認められ、1941年から1945年までベルリン・フィルのコンサートマスターを務めます。1944年にはドイツ軍の護送付きでヘルシンキに渡り、作曲家の御前でシベリウスの協奏曲を演奏。戦後も協奏曲に室内楽にと活躍を続け、ピアニストではファルナディやギーゼキングと共演を多く重ねました。
(キングインターナショナル)
【曲目】
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 61
[LP1-A]第1楽章
[LP1-B]第2・3楽章
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op. 53
[LP2-A]第1楽章
[LP2-B]第2・3楽章
【演奏】
ゲルハルト・タシュナー(ヴァイオリン)
[LP1]ゲオルク・ショルティ(指揮)
[LP2]ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
【録音】
[LP1]1952年3月24日/ベルリン、[LP2]1942年11月26日/ベルリン
ギーゼキングとの『クロイツェル』が圧巻!
タシュナーの実力が十二分に発揮された
ベートーヴェンのソナタ集
MELOLP-017/8、MELOLP-019/20に続くベルリン・フィルのコンサートマスターに焦点を当てたシリーズ、今回はTAHRAレーベルから、ゲルハルト・タシュナーの音源を初LP化!LP用にリマスターを施し、アナログのマスターテープを作った上でLP化しております。第4集はファルナディとギーゼキング伴奏によるベートーヴェンのソナタ集。ギーゼキングとの『クロイツェル』は圧巻の演奏。重厚で熱量たっぷりのピアノと強靭な張りのあるヴァイオリンが火花を散らします。ファルナディとの初期ソナタも軽やかな古典的均整と気の利いたアンサンブルが大いに魅力的です。
(キングインターナショナル)
【曲目】
ベートーヴェン:
(1)ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op.47《クロイツェル》
[LP1-A]第1楽章
[LP1-B]第2・3楽章
(2)ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 Op.24《春》
[LP2-A]全楽章
(3)ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12-3
[LP2-B]全楽章
【演奏】
ゲルハルト・タシュナー(ヴァイオリン)
ワルター・ギーゼキング((1)ピアノ)
エディト・ファルナディ((2)(3)ピアノ)
【録音】
(1)1951年7月14日/バーデン・バーデン、(2)(3)1955年11月7日/ベルリン・リアス・スタジオ7
カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) クラシックLP
掲載: 2020年06月23日 00:00