ティーレマン~シェーンベルク「グレの歌」に初挑戦!歴史に残る2020年3月公演の記録
ティーレマンが「グレの歌」に初挑戦。
歌手陣も熱演。歴史に残る2020年3月の記録
シュターツカペレ・エディション第50弾は、ティーレマンがシェーンベルクの超大作「グレの歌」に初挑戦。2020年3月にゼンパーオーパーで行なわれたコンサートのライヴで、この直後に新型コロナウィルスのロックダウンですべての劇場が閉鎖されたため、奇跡的な歴史の証言となりました。実際、ティーレマンはザルツブルクのイースター音楽祭でもこの作品を上演予定でしたが、そちらは中止となりました。
「グレの歌」はシェーンベルク初期1900-11年の作で、まだ無調や十二音技法などを採り入れる前のワーグナー風、後期ロマン派的作風によります。マーラーの交響曲第9番と同時期の作でもあり、まさにティーレマン向きの曲と申せましょう。5人の独唱と語り手、男声合唱と混声8部合唱、各種打楽器、4台のハープを含む大編成の音楽家が舞台で一堂に会した最後の機会のひとつだけに、熱気はひとしおに感じられます。
ライヴながら各楽器のバランスと統率力の巧さはティーレマンならでは。さらに濃密な情感とフィナーレへ向かうエネルギーに興奮させられます。5人の独唱者も魅力。ヴァルデマール王役のステファン・グールド、トーヴェ役のカミッラ・ニールンド、山鳩役のクリスタ・マイヤーはいずれも新国立劇場の「指環」や「サロメ」での好演が記憶に新しい実力派。驚くべき芸達者ぶりで、不倫から殺人に至るおどろおどろしい話を息もつかせぬ緊張感で演じています。
(キングインターナショナル)
【曲目】
シェーンベルク:グレの歌
【演奏】
ヴァルデマール王:ステファン・グールド(テノール)
トーヴェ:カミッラ・ニールンド(ソプラノ)
山鳩:クリスタ・マイヤー(メゾソプラノ)
農夫:ユン・クヮンチェル(バス)
道化師クラウス:ヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケ(テノール)
語り手:フランツ・グルントヘーバー(バリトン)
MDR放送合唱団
ドレスデン歌劇場合唱団
グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団のメンバー
シュターツカペレ・ドレスデン
指揮:クリスティアン・ティーレマン
【録音】
2020年3月10日、ゼンパーオーパー(ライヴ)