Steve Cropper(スティーヴ・クロッパー)|史上最高のソウル・ギタリストのひとり、キャリア半世紀以上のベテランのアルバム『FIRE IT UP』
ブッカー・T&THE MG'S結成時のメンバーであり、スタックス・レーベルでオーティス・レディングやウィルソン・ピケットなど数多くのアーティストの楽曲に参加し、ブルース・ブラザーズの創設メンバーでもある、史上最高のソウル・ギタリストの一人、スティーヴ・クロッパー。その彼が何と『Night After Night』(1982年)以来となる〈スティーヴ・クロッパー〉のソロ名義で新たなスタジオ・アルバムを完成させた。
スタジオからステージ、さらには銀幕のスクリーンまで、ありとあらゆる場でギタリストとして、またプロデューサー、ソングライターとしてアメリカン・ソウル・ミュージックの歴史のあちこちで活躍してきた彼だが、今回リリースとなる、彼にとって通算12作目のスタジオ・アルバムとなる『FIRE IT UP』は、彼のまた新たな面をのぞかせる1作でもある。
「このアルバムは、これまで出ているどの作品とも異なっている」そう語るのはスティーヴ本人だ。「古いグルーヴが溢れているが、これはロックダウンの間、頭のなかに何年もあったものをいじっていた」彼は思いついた歌詞やギター・リフを後で使うためにファイルに保存したりはしないが、ずっと頭の中に浮かんでるそうで、いつでも取り出せるという。
今作『FIRE IT UP』のきっかけとなったのは、今から遡ること10年ほど前のフェリックス・キャバリエとのセッションだったという。二人は、スティーヴ・クロッパー&フェリックス・キャバリエ名義で2枚のアルバムをリリースしたが、そのどちらの作品にもぴったりとこなかったものの、最高のグルーヴを捉えたトラックがあり、それをプロデューサーのJon Tivenがずっと保管していたという。そしてある時、そのJonがこれらを引っ張り出し、“これ結構いいよ”とスティーヴに連絡をしたという。そこからスティーヴはそのトラックをもとに、新たな曲のアイディアを加えたりして、楽曲を完成させたという。
そうして完成したアルバム『FIRE IT UP』は間違いなく、傑作と呼べる仕上がりとなっている。ヴォーカリストのRoger C Realeをフィーチャーした正統派R&Bナンバー「Fire it Up」から、ファンキーな「Bush Hog」、そして彼の王道サウンドとも呼べそうな「Far Away」まで、本作はスティーヴ・クロッパーのソロ名義の作品でありながら、アルバムに参加しているミュージシャンそれぞれのリズムはグルーヴ、そして音やそれぞれのソロ・パートが互いを引き立てあう、バンド作品でもある。ここにはギタリストとしてだけでなく、プロデューサーとしても長くシーンに関わってきた彼ならではの視点があるのだ。
古くからのサウンドに時代を超えたグルーヴを織り交ぜた、キャリア半世紀以上のシーンのベテランでしか出せないいぶし銀のR&Bファンク・サウンド。スティーヴ・クロッパーの『FIRE IT UP』、新たな傑作の予感がする作品だ。
輸入盤CD
輸入LPレコード
収録予定曲:
01. Bush Hog Part 1
02. Fire It Up
03. One Good Turn
04. I'm Not Havin' It
05. Out of Love
06. Far Away
07. Say You Don't Know Me
08. She's So Fine
09. Two Wrongs
10. Heartbreak Street
11. The Go-Getter Is Gone
12. Bush Hog Part 2
13. Bush Hog
掲載: 2021年02月09日 12:32
更新: 2021年02月22日 15:00