Naxos~2021年7月第1回発売新譜情報(5タイトル)
今回は、ギターの名手デイヴィッド・タネンバウムによるアメリカのギター協奏曲集、人気シリーズ「ロシアのピアノ三重奏曲集」シリーズ最後を飾る第5集、1930年代、絶大な人気を誇ったアブラハムの喜歌劇“サヴォイの舞踏会、英語版世界初録音などCD5タイトルがリリースされます。
一部世界初録音
アメリカ生まれの新しいギター協奏曲集
デイヴィッド・タネンバウム(ギター)、アーロン・ジェイ・カーニス(指揮)ニュー・センチュリー室内管弦楽団、他
アメリカ出身のギタリスト、教育者タネンバウムは、ヘンツェやテリー・ライリー、ルー・ハリソンらに作品を委嘱・演奏するなど、ギター曲のレパートリーを豊かにし続けています。
この20世紀終わりから21世紀にかけて作曲された南北アメリカのギター協奏曲集に収録された作品も、ピアソラを除き、全て演奏者タネンバウムのために作曲されたもので4曲全てが世界初録音です。1曲目、カーニスの「ダンス・ヒッツ」協奏曲は親しみやすい旋律が特徴。アルバム・タイトル『Double Echo』はこの曲の第1楽章から採られています。ゆったりとした第2楽章を経て、思わず口ずさみたくなるようなポップス調のメロディを主題とする第3楽章へ続きます。同じくカーニスの「子守歌」と「独白」は抒情的でロマンティックな雰囲気を湛えています。シエッラの「小協奏曲」ははじけるようなリズムが印象的な作品。これら委嘱作品に添えられたピアソラの二重協奏曲は1985年、ベルギーで開催された国際ギター・フェスティバルのための作品。ウィリアム・ウォルトンの音楽からインスピレーションを受けたとされ、冒頭の「イントロダクション」ではオーケストラが登場せず、ギターとバンドネオンがしみじみとした対話を繰り広げる哀愁漂う楽章であり、第2楽章と第3楽章はピアソラらしいタンゴの曲想です。
(ナクソス・ジャパン)
ロシア・ピアノ三重奏曲の歴史 第5集
ブラームス・トリオ
NAXOSの人気シリーズ「ロシア・ピアノ三重奏曲の歴史」を締めくくる第5巻の登場。このアルバムには音楽史からほとんど名前が消えてしまった20世紀に活動した3人の作品が収録されています。
パリ音楽院でヴィドールに作曲を学んだウラディーミル・ディックは1910年にフランス国籍を取得しましたが、1943年、彼は家族とともにナチスに捉えられアウシュシッツに送られ、悲劇的な死を迎えます。このピアノ三重奏曲は1910年の作品。映画音楽の分野で鍛えた巧みな音作りの中にロシアの魂が込められた力作です。アメリカに渡り、優れたピアニストとして活躍したスターンバーグの三重奏曲は、思いのほか明るく平易な楽想を持つ作品。変奏曲形式で書かれた第2楽章に漂う哀感が強い印象を残します。ユーフェロフはオデッサの裕福な家庭に生まれ、グラズノフから作曲の指導を受けた作曲家。このピアノ三重奏曲はノスタルジックな曲想と持つとともに、随所にロシア民謡由来の力強い旋律も聴かれる美しく充実した音楽です。
(ナクソス・ジャパン)
英語版は世界初録音
パウル・アブラハム(1892-1960):喜歌劇《サヴォイの舞踏会》(ハーシュ・グラゴフ&ジェラルド・フランツェンによる英語版)(2枚組)
アントニー・バレーゼ(指揮)シカゴ・フォーク・オペレッタ
ハンガリー出身のユダヤ系作曲家パウル・アブラハムの喜歌劇《サヴォイの舞踏会》。1932年12月に初演されたこの作品は、既婚男性が妻に嘘をついて舞踏会に出席、それを知った妻が仕返しをするという、ヨハン・シュトラウス2世の《こうもり》を彷彿させるコミカルな筋立て。当時流行していたジャズ・バンドやタンゴを音楽に組み込んだことにより、ワイマールやベルリンを中心にセンセーションを巻き起こし、果てはレハール作品に並ぶ世界的なヒット作となりました。
しかし1933年、ベルリンの映画スタジオで働いていたアブラハムは、ナチスによってドイツを追われ一旦ブダペストに戻り、この作品もドイツでは"退廃音楽"とみなされ上演が禁止されてしまいます。それでもアブラハム作品はヨーロッパの他の国で人気を保ち、彼も避難先のウィーンやパリで映画音楽や喜歌劇の創作を続けました。しかしファシズムの侵攻に伴い、1940年にキューバを経てニューヨークに亡命。ここで心機一転を図りましたが、当時のニューヨークではガーシュウィンとコール・ポーターが人気を獲得しており、残念なことにアブラハムの作品が注目されることはありませんでした。その後ドイツに戻るも寂しい晩年を送り、1960年にひっそりと生涯を終えています。
この上演は英語版による世界初録音となるものです。
(ナクソス・ジャパン)
アーサー・サリヴァン(1842-1900):劇音楽集 [MARCO POLO 8.223461より移行盤]
アンドリュー・ペニー(指揮)RTEコンサート・オーケストラ
人気劇作家のウィリアム・ギルバートと組んだ「ギルバート&サリヴァン」としてコミック・オペラの世界を席巻した作曲家アーサー・サリヴァン。 二人の協力関係が始まったのは1875年のことですが、サリヴァン自身は少年時代から楽器を自在に操るとともに、讃美歌などを作曲。14歳の時にはメンデルスゾーン賞を授与されるなどその才能が注目されていました。また、若い頃からシェイクスピア作品に関心を持っており、1862年には『テンペスト』の劇音楽を書きあげています。60年代には父の追悼のための「イン・メモリアム」(トラック13)やチェロ協奏曲などの名作を次々と生み出し、次第に英国最高の作曲家と称賛されるまでになります。特に劇音楽と歌劇の分野への貢献は抜きんでており、1883年にはヴィクトリア女王からナイトの称号を授与されました。このアルバムではサリヴァンの劇音楽の魅力を存分に堪能できます。
(ナクソス・ジャパン)
一部世界初録音
フェルナンド・ロペス=グラサ(1906-1994):歌曲と民謡集 第2集
スサナ・ガスパー(ソプラノ)、リカルド・パネラ(バリトン)、他
20世紀後半のポルトガルにおける最も偉大な作曲家の一人、ロペス=グラサ。リスボンでフレイタス・ブランコとヴィアンナ・ダ・モッタから作曲とピアノを学んだ後、大学都市として知られるコインブラに住み、作家や知識人のグループと親しく交流しました。この時に知った詩人ジョゼ・レジオらによる数多くのポルトガル語の詩はその後の彼の創作に大きな影響を与えることとなります。今回の「歌曲と民謡集」第2集に収録されているのは、フランス印象派の影響を受けた初期の曲から、前述のレジオの詩による「4月25日の3つの歌」まで、作曲年代は45年を越えており、政治的な思想に由来する曲や民謡由来の曲が取り混ぜられています。中でも、ポルトガルやチェコ、ギリシャ民謡を素材とする様々な国ごとの特徴を感じさせる旋律では、彼が目指した"国境を越えた友愛から生まれる理想郷"を感じることができます。
ポルトガル出身、ソプラノのスサナ・ガスパーは英国ロイヤル・オペラ・ハウスが主宰する「ジェット・パーカー・ヤングアーティスト・プログラム」の卒業生。2013年度のカーディフ国際声楽コンクールで注目され、世界的に活躍を始めた新鋭歌手です。同じくポルトガル出身のバリトン、リカルド・パネラも歌劇と歌曲両面の演奏で知られる若手です。
(ナクソス・ジャパン)
2021年6月第2回発売タイトルはこちら>>>
2021年6月第1回発売タイトルはこちら>>>
2021年5月第2回発売タイトルはこちら>>>
2021年5月第1回発売タイトルはこちら>>>
2021年4月第2回発売タイトルはこちら>>>
2021年4月第1回発売タイトルはこちら>>>
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年06月02日 00:00