フルートとギターのデュオ!瀬尾和紀&松尾俊介~『ビーダーマイヤー/ウィーン1820』
愉悦の音楽 ― これぞ逸品! 何気ない旋律に隠された熟練の技
タイトルの「ビーダーマイヤー」とは、家庭の団欒や身の回りの食器や家具などに関心を向け、簡素で心地よいものを好み、日常的な生活に喜びを見い出すといった、19世紀前半のドイツやオーストリアを中心に流行した風潮のこと。このアルバムでは、当時活躍した2人の作曲家、ジュリアーニとシューベルトの作品に焦点をあて、その作品を瀬尾と松尾が温かい音色で描き出しています。
マウロ・ジュリアーニはウィーンで活躍した南イタリア出身の作曲家。数多くのギター作品を残し、ギターという楽器の地位と、演奏技術を確立したことで知られています。現代、彼の作品を耳にする機会が少ないのは残念ですが、アルバムに収録された2つの「協奏大二重奏曲」を聴けば、その魅力に開眼する人も多いことでしょう。2人の奏者は持てる技術を最大に駆使しながらも、決して競うことはなく親密な空気を醸し出しています。
かたや親しい友人たちとの交流をことのほか大切にしていたシューベルト、彼の作品はまさに「心の喜び」を見出すのにふさわしいものばかり。このフルートとギターで奏されるアルペジョーネ・ソナタでは、2つの楽器の音色が溶け合い、絶妙な雰囲気を醸し出します。余韻深いセレナーデも聴きどころ。「身の回りのものに喜びを見い出すこと」は、今の時代にも共通することであり、この素晴らしいアルバムからも、大きな喜びを見い出すことができるのではないでしょうか?
(ナクソス・ジャパン)
『ビーダーマイヤー/ウィーン1820』
【曲目】
1-3.ジュリアーニ:協奏大二重奏曲 Op. 52
4-6.シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ D821
7-10.ジュリアーニ:協奏大二重奏曲 Op. 85
11.シューベルト:セレナード D957
【演奏】
瀬尾和紀(フルート)
松尾俊介(ギター)
【録音】
2020年11月17~19日、神奈川県立相模湖交流センター
録音エンジニア:山中耕太郎 (Rec-Lab)
<瀬尾 和紀>
パリ国立高等音楽院フルート科を首席で卒業すると同時に、ニールセン、ランパル、ジュネーヴなどの国際コンクールで立て続けに受賞。現在に至るまでソリストとしてヨーロッパ諸国やアメリカ、カナダ、チリ、また中国、台湾、韓国などのアジア諸国において演奏活動を行い、フィンランドのクフモ室内楽音楽祭をはじめフランス国営放送局モンペリエ音楽祭、済州島音楽祭、北九州国際音楽祭や世界各地のフルート・フェスティバルに出演。また国際コンクールの審査員としても招かれている。近年フルーティストとしてのみならず共演ピアニストとしての活動の場も増やし、また編曲、指揮、後進育成のための音楽アカデミーの主宰、レコーディング・プロデューサーとしての活動など、様々な企画、演奏に音楽界の話題を呼び多事多端。録音活動も精力的に、ナクソスやワーナー・ミュージック、そして自身が主宰するヴィルトゥス・クラシックスなどから計15枚以上のアルバムをリリース。
<松尾 俊介>
パリ国立高等音楽院ギター科を審査員満場一致の首席で卒業。2005年、古楽と現代音楽に焦点を当てたファーストアルバム「ヴァリエ1」をリリースし、トッパンホールにてデビューリサイタルを開催。その後はHakujuギター・フェスタ、ベオグラード国際ギターアートフェスティバル、サラエボの冬などの音楽祭に招かれるほか、東京オペラシティ「B→C」、東京・春・音楽祭「東博でバッハ」、ザ・シンフォニーホール「未来の巨匠がつなぐバトンリレーコンサート」シリーズなどに出演。これまでに東京交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団等のオーケストラと共演し、ソリスト、室内楽奏者として、邦楽との共演や新作の初演など多彩な演奏活動を展開している。
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年06月22日 00:00