ナターリヤ・ミルシテインの新録音!『つかの間の幻影』~プロコフィエフ、リスト、バルトーク、ショパン、アルズマノフ
望郷の思いと幻影を若きナターリヤ・ミルシテインが見事に表現
1995年リヨン生まれのピアニスト、ナターリヤ・ミルシテイン。ヴァイオリニストの姉マリヤとのデュオで意欲的なディスクをリリースして注目されています。今回は小品集ですが、若さに似合わぬ世界観とこだわりを示します。
ショパン、リスト、プロコフィエフ、バルトークらはいずれも異郷の地で活動しましたが、1944年生まれのワレリー・アルズマノフも1974年以来フランス在住、ナターリヤ・ミルシテインの両親もロシアからフランスに移住者で共通する思いがあります。加えて曲も作曲者思い出の音楽素材が多用され心の叫びをミルシテインが代弁するかのようです。
メインはプロコフィエフの「つかの間の幻影」。全曲演奏も貴重ですが、原題のロシア語の「つかの間」が翻訳不可能なニュアンスを持っていて、同じ感覚の作品を集めたとのこと。ブックレット解説も自ら執筆するナターリヤ・ミルシテインならではの文学的解釈が興味津々です。
ワレリー・アルズマノフはスターリンの暗黒時代に「人民の敵」とされた両親の流刑先コミ自治共和国で生まれ、レニングラード音楽院でサルマノフ(ムラヴィンスキーが熱心に紹介した作曲家)に師事。フランス人と結婚したことで1974年にフランスへ移りメシアンに師事しました。ロシアの民俗音楽やメシアン譲りのインド的な要素を盛り込んだ作風で、ここに収めたピアノ曲は近年教材として用いられています。
(キングインターナショナル)
『つかの間の幻影』
【曲目】
1.バルトーク:野外にて(全5曲)
2.リスト:忘れられたワルツ第1番
3.プロコフィエフ:つかの間の幻影 Op.22(全20曲)
4.リスト:忘れられたワルツ第2番
5.アルズマノフ:ピアニスティックな世界第12巻 Op.100~大気中/競争/ヴァルセット/見えない寺院
6.アルズマノフ:ピアニスティックな世界第13巻 Op.107~こんにちは! /柔軟な/消えるコラール
7.アルズマノフ:ユーモアの境で Op.237~行進曲
8.アルズマノフ:7つの民謡調 Op.201~あるロシアの歌の思い出
9.リスト:忘れられたワルツ第3番
10.ショパン:3つのマズルカ Op.63
11.リスト:忘れられたワルツ第4番
【演奏】
ナターリヤ・ミルシテイン(ピアノ)
※Yamaha CFX使用
【録音】
2020年7月20-24日/ザーンダム音楽ホール(オランダ)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年06月25日 00:00