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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.163

ハワード・ロバーツ『グッド・ピッキンズ』(1959)

HR

ハワード・ロバーツ(g)
ビル・ホルマン(ts)
ピート・ジョリー(p)
レッド・ミッチェル(b)
スタン・リーヴィー(ds)

1957年、ロサンジェルス録音

曲目:
01.ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン
02.ホエン・ザ・サン・カムズ・アウト
03.オール・ザ・シングス・ユー・アー
04.ラヴァー・マン
05.リラクシング・アット・カマリロ
06.ゴッドチャイルド
07.イージー・リヴィング
08.絶体絶命
09.ザ・モア・アイ・シー・ユー
10.テルプシコラー

【アルバム紹介】
1.ウェストコースト・ジャズ・シーンで活躍した名ギタリスト
2.カルテット編成で、名手たちとスタンダード・ナンバーを中心に軽快な演奏を聴かせる
3.スタジオ、TV、映画の音楽などもこなし、名音楽学校設立にも関与

「美人ジャケット」第4弾は、ウェストコースト・ジャズ・シーンで活躍した名ギタリスト、ハワード・ロバーツの50年代後半のリーダー作です。

艶やかなジャズ・ギター・サウンドで、非常にいいプレイを聴かせる名プレイヤーなのですが、リーダー・アルバムはそれほど多くなく、知る人ぞ知るギタリストの一人でもあります。
本作はテナー・サックスのビル・ホルマンをはじめとするウェストコーストの名手たちとカルテット編成で、スタンダード・ナンバーを中心に軽快な演奏を聴かせるアルバムになっています。

60年代になると、スタジオ・シーンでも活躍するようになり、数々のヒットを世に送り出したLAのスタジオ・ミュージシャン集団のレッキング・クルーにも加わっています。また人気ドラマ『トワイライト・ゾーン』をはじめとするTVの世界での音楽の仕事でもその才能を発揮、ラロ・シフリンが手掛けたスティーヴ・マックイーン主演の刑事アクション映画『ブリット』のサントラなどでもプレイするなど多彩ぶりを見せていました。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
歯切れのいいフレーズが光る“リラクシング・アット・カマリロ”。

天才サックス奏者チャーリー・パーカーのナンバーをジャズ・ギターで演奏するとしたら、こんな演奏がお手本だと言ってよい名演です。
ギター弦の一本一本が見事なピッキングによってクリアに響き、歯切れの良いフレージングで、テーマ、ソロともに、スマートでスインギーなギターワークを展開しています。
モダン・ジャズ・ギターをマスターする人にとって、ハワード・ロバーツの演奏ほど、いい教材はないように思えます。実際、60年代後半からはギターを教えることに注力をしてゆき、70年代には、後にバカテク・ミュージシャンを多く輩出することになるギター科GITを有するMI(ミュージシャンズ・インスティチュート)の創設に関わりました。
そんな幅広い活動ゆえ、多忙な中、自身のリーダー作は70年代に入ってからインパルス・レーベルでの実験的なアルバムやコンコード・レーベル、ディスカバリー・レーベルでのストレートなジャズ・ギター・アルバムを残した後、新録音での作品は見当たらず、80年代以降は他アーティストのレコーディング参加が多少あるだけになりました。
そして1992年、62歳の時に癌が原因で残念ながらその生涯を閉じましたが、本作での卓越した演奏を聴くと、ウェストコースト・ジャズ・シーンで名を馳せた名ジャズ・ギタリストとして再評価されて欲しいミュージシャンの一人だと思えます。

国内盤CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年01月28日 10:00