WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.174
ダグ・ワトキンス『ワトキンス・アット・ラージ』(1956)
ダグ・ワトキンス(b)
ドナルド・バード(tp)
ハンク・モブレー(ts)
ケニー・バレル(g)
デューク・ジョーダン(p)
アート・テイラー(ds)
1956年12月8日、ニューヨーク録音
曲目:
01.リターン・トゥ・パラダイス
02.フィナッピ
03.フィル・T・マクナスティーズ・ブルース
04.モア・オブ・ザ・セイム
05.パノニカ
【アルバム紹介】
1.名ベーシスト、ダグ・ワトキンスの初リーダー作
2.ソニー・ロリンズの名盤『サキソフォン・コロッサス』参加でも有名
3.幻のレーベル、トランジション・レコードでの豪華メンバーによるセッション
ジャズの世界ではベースやドラムスは、フロントのプレイヤーを支える技術が長けているほど、名プレイヤーとしてリスペクトされます。
今回取り上げるのはそんな名ベーシスト、ダグ・ワトキンスの初リーダー作です。
ダグ・ワトキンスは生涯2作のリーダー・アルバムしか残していませんが、サイドマンとしては、数々のアルバムに参加しており、中でも有名なのは1957年のソニー・ロリンズの名盤『サキソフォン・コロッサス』でのプレイでしょう。また、アート・ブレイキーのザ・ジャズ・メッセンジャーズの初代メンバーとしても知られています。
本作は、50年代後半に短期間存在した幻のレーベル、トランジション・レコードでのセッションで、メンバーは、トランペットのドナルド・バード、テナー・サックスのハンク・モブレーというフロントになっていますが、この二人もともにザ・ジャズ・メッセンジャーズの初代メンバーでした。
この他、ギターのケニー・バレル、ピアノのデューク・ジョーダン、そしてドラムスのアート・テイラーという顔ぶれで、名手揃いのセクステット編成で聴かせるハードパップ作となっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
10分にわたる長尺の“モア・オブ・ザ・セイム”。
ダグ・ワトキンスのブンブンとしたウォーキング・ベースが光るこのメジャー・ブルース・チューン、作曲はブルーノートにもリーダー作を残している名トランペッター、サド・ジョーンズによるものです。
ケニー・バレルのギターから順に、デューク・ジョーダン、ハンク・モブレー、ドナルド・バードの順にソロが進んでゆきます。そしてダグ・ワトキンスのベース・ソロ、アート・テイラーのドラムス・ソロを経て、エンディングに向かうという爽快なセッションになっています。
ダグ・ワトキンスはハードバップ全盛時のジャズ・シーンには欠くことのできないベース・プレイヤーでしたが、そのキャリアの終わりは意外に早くやってきており、1962年2月に自動車事故で27歳という若さで亡くなっています。余談ですが、この前年の7月には、夭折の天才ベーシストとして知られるスコット・ラファロ(ビル・エヴァンス・トリオ)が同じく自動車事故で25歳で亡くなっています。
先述の通り、本作はダグ・ワトキンスの希少なリーダー盤ゆえ、そのベースの一音一音の響きや動きにじっくりと耳を傾けて聴きたいものです。
国内盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年04月15日 10:00