WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.211
ジョー・ヘンダーソン『ミュージング・フォー・マイルス』(1993)
ジョー・ヘンダーソン(ts)
ジョン・スコフィールド(g)
デイヴ・ホランド(b)
アル・フォスター(ds)
1992年10月12日~14日、ニューヨーク録音
曲目:
01.マイルス・アヘッド
02.ジョシュア
03.プフランスシング (ノー・ブルース)
04.フラメンコ・スケッチ
05.マイルストーンズ
06.テオ
07.スウィング・スプリング
08.サークル
09.サイド・カー
10.ソー・ニア、ソー・ファー
【アルバム紹介】
1.名テナーマン、ジョー・ヘンダーソンのマイルス・トリビュート作
2.マイルス・バンドの一員だった顔ぶれによる豪華セッション
3.ピアノレスのギター入りカルテットで聴かせる
90年代の名盤を特集、今回は名テナー・サックス奏者ジョー・ヘンダーソンのアルバムを取り上げます。
ジョー・ヘンダーソン(以下ジョーヘン)は60年代にブルーノート・レーベルでの初リーダー作『ページ・ワン』をはじめとする自身のアルバムやサイドメンとして数々のセッションに参加して、その名手ぶりで知られたレジェンド級プレイヤーの一人です。
本作はジャズ界の帝王こと、トランペッターのマイルス・デイヴィスへのトリビュート作で、楽曲はマイルスゆかりのナンバーを取り上げており、参加メンバーはかつてマイルス・バンドの一員だった顔ぶれという豪華なセッションを収録したものです。その中で、ジョーヘンはマイルスとは1967年に数週間だけの共演歴と一番短いですが、ギターのジョン・スコフィールド(以下ジョンスコ)、ベースのデイヴ・ホランド、ドラムスのアル・フォスターはマイルス・バンドに参加したことでメキメキと腕を上げていった名プレイヤーたちです。
編成はピアノレスのギター入りカルテットゆえ、スペイシーでありながら、時折フワッと漂うハーモニー感覚が新鮮な印象を与え、そんなところが本作の特徴にもなっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ジョンスコの絶品のバッキングが光る“マイルス・アヘッド”。
本作の発売当時、店頭でかけ始めた時、この1曲目に収録の“マイルス・アヘッド”を聴いて驚きました。マイルスのオリジナル(1957年のアルバム『マイルス・アヘッド』のタイトル曲)はギル・エヴァンス・アレンジによるラージ・アンサンブルをバックにしたものですが、その広がりあるサウンドの持つ空気感をたった4人で見事に再現した演奏だったからです。ジョーヘンの抑制のきいたトーンでのプレイもさることながら、ジョンスコのギターによる絶品のハーモニー・アプローチが冴えまくっています。アル・フォスターのドラムスも最初はブラシで聴かせ、ジョーヘンのソロに入ると、スティックに持ち替え、徐々にダイナミックスをつけてゆきます。
ちなみに、マイルス・デイヴィスが亡くなったのは本作が録音される前年の9月でした。このレコーディング時、各メンバーに去来するマイルスへの想いがあったのだろうと想像もでき、そう思って聴いていると、落ち着いた中にもパッションが感じられる、そんな演奏になっています。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年01月13日 10:00