クリストフ・ルセ&レ・タラン・リリク~スポンティーニ:抒情悲劇“ヴェスタの巫女”(2CD+BOOK)
スポンティーニの出世作、ルセによる充実古楽器演奏で登場!
フランスの古楽復興を牽引し、18世紀に人気を誇りながら歴史に埋もれていたイタリアやフランスの傑作を数多く発掘・紹介して話題を呼んできたクリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリク。
近年ではサリエリがパリで発表した三つのフランス語オペラの録音で毎回話題を呼んだほか、グノー生誕200周年の2018年には《ファウスト》初演時の版を古楽器初録音(BZ1037)、ロマン派時代の音楽にも高い適性のあることを印象づけました。
その彼らが今回、西洋歌劇史を辿れば避けては通れない19世紀初頭の重要作と正面から向き合います。作曲家はベートーヴェンと同世代のイタリア人作曲家ガスパレ・スポンティーニ。かの楽聖がウィーンで《フィデリオ》の原型となる《レオノーレ》の作曲と改作に腐心していた頃、フランス皇帝ナポレオンの妃ジョゼフィーヌの後押しを受けパリで世界初演された《ヴェスタの巫女》は大いなる熱狂をもって迎えられ、後にフランスとプロイセンをまたにかけ圧倒的名声を誇ることになるスポンティーニの出世作となった作品。
古代ローマを舞台に、絶やしてはならないとされてきた神殿の炎の鎮火をめぐる大事件を、革命期ならではのスリリングな音楽展開で描いた傑作ですが、この演奏はそのダイナミックな音作りもさることながら、独唱の細やかな節回しに適切に寄り添う古楽器オーケストラの音色も実に美しく、作品本来の魅力の諸相に迫った名演に仕上がっています。
バルベラック、クリストヤニス、ヴィチャクらフランス歌劇界の錚々たる男声歌手たちと共に、ラトヴィア出身の注目歌手マリナ・レベカが鮮やかな歌唱を聴かせ、ナチュラル・トランペットのマドゥーフやトロンボーンのクレア・マッキンタイアら大物ソリストから、クラリネット磯部礼奈のような新世代の俊才まで幅広い層が加わるレ・タラン・リリクの濃淡豊かな演奏の頼もしさも格別。
革命期のオペラの魅力を十全に堪能できる演奏内容に加え、Bru Zaneレーベルならではの150ページに及ぶ仏英語による充実解説も嬉しいところです。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
ガスパーレ・スポンティーニ(1774-1851):抒情悲劇《ヴェスタの巫女》全3幕(1807年パリ初演)
台本: ヴィクトール=ジョゼフ・エティエンヌ・ド・ジュイ(1764-1846)
【演奏】
ジュリア…マリナ・レベカ(ソプラノ)
リシニュス…スタニスラス・ド・バルベラック(テノール)
シンナ…タシス・クリストヤニス(テノール)
巫女の長…オード・エクストレモ(メゾ・ソプラノ)
最高神祇官…ニコラ・クルジャル(バス)
執政官/占師の長…ダヴィド・ヴィチャク(バリトン)
フランダース放送合唱団
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
クリストフ・ルセ(指揮)
【録音】
2022年6月17-20日 ラ・セーヌ・ミュジカル、パリ
収録時間: 132分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年03月30日 00:00