フォルタン&アンサンブル・マスク~レグレンツィ: オラトリオ“悔悛者の心の死”
室内編成で驚くほど豊かに織り上げられる、17世紀後半イタリアのオラトリオ
17世紀半ばから後半にかけ、ミラノやボローニャ、ヴェネツィアなどで活躍した作曲家レグレンツィは、カヴァッリやカリッシミら17世紀中盤のイタリアを代表する作曲家たちの後を受け、コレッリやA.スカルラッティら後期バロックと呼びうる時代の大家たちとの橋渡しをなす存在。複数のヴァイオリンが歌い交わす室内楽曲の発展に大きく寄与した一方、声楽作品も多く残していますが、録音は必ずしも多くありません。
ここではヴェネツィア滞在中の1673年に初演された、人間の罪深さを自覚し信心深く生きることを促すカトリック寓意物語『悔悛者の心の死』を、長くスキップ・センペの頼れるアシスタントとして活躍してきたオリヴィエ・フォルタンを中心に集まった名手たちがコントラスト鮮やかに全曲演奏。
コレッリやムファットなどにも通じる端正な音作りやA.スカルラッティやボノンチーニの初期作品にも比しうる歌心には、すでに次の世紀の到来さえ予感させるものがあります。
鈴木雅明やフィリップ・ヘレヴェッヘらとの共演でも注目されるハナ・ブラジコヴァーを筆頭に表現力きわだつ歌手たちの妙技を、欧州各地で多忙な活躍を続ける腕利きの器楽勢が鮮やかにサポート。通奏低音以外は各パート一人ずつとは思えない変幻自在の響きの聴きごたえに唸らされます。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):オラトリオ『悔悛者の心の死』(全曲)
【演奏】
罪を犯した人間…ラファエレ・ジョルダーニ(テノール)
悔悛する心の寓意…クリスティーナ・ファネッリ(ソプラノ)
希望の寓意…ハナ・ブラジコヴァー(ソプラノ)
痛みの合唱…ウィリアム・シェルトン(カウンターテナー)、マヌエル・ヌニェ ス・カメリーノ(テノール)、ロマン・ボクレール(バス)
アンサンブル・マスク(古楽器使用)
ソフィー・ジェント、トゥオモ・スニ(ヴァイオリン)
カスリーン・カジオカ(ヴィオラ)
メリザンド・コリヴォー(チェロ)
ブノワ・ファンデン・ベムデン(コントラバス)
マノン・パパセルジオー(ハープ、リローネ)
アンドレ・ハインリヒ(テオルボ)
オリヴィエ・フォルタン(チェンバロ、指揮)
【録音】
2022年8月 洗礼者聖ヨハネ御生誕教会、コラヴィレール(フランス東部フランシュ=コンテ地方)
収録時間: 77分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年05月09日 00:00