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シンタグマ・アミーチ『フランス王室楽団のオーボエ・バンドによる室内楽の世界』

シンタグマ・アミーチ

屋外向け吹奏楽団の演奏家たちが、太陽王の宮廷の「室内」で奏でた音楽とは?

バロック期のフランスで音楽文化を躍進させた立役者である太陽王ルイ14世の宮廷には、礼拝堂楽団や室内楽団の他にダブルリード楽器を携えた吹奏楽団(大厩舎楽団)が雇われ、主に軍楽や屋外での式典を彩る役割を与えられていました。
とはいえ当時の音楽家は複数の楽器をプロとして演奏できるのが常で、大厩舎楽団の楽員たちもしばしばリコーダーやフラジオレットなどの笛を扱いながら、屋外ではなく城内での室内楽やオペラ上演にも動員され、当初こそ「騒々しい」と驚かれながらも、ついにはオーボエやバスーンも諸々の通奏低音楽器や弦楽器と共に繊細な音楽を奏で得ることを立証していったのでした。

『大厩舎楽団の祝宴』と銘打った2022年のアルバム(RIC439)で彼らの屋外吹奏楽のレパートリーを披露した古楽器楽団シンタグマ・アミーチは今回、この大厩舎楽団が室内空間に動員された時どのような音楽を披露したか、入念に再現製作された当時の楽器と共に探ってゆきます。
王の起床時から就寝時まで、ヴェルサイユ宮殿の随所に響いたオーボエ、リコーダー、クロモルヌ(クルムホルンとは異なるダブルリード管楽器)、バスーンといった管楽器が奏でるのは、王室音楽総監督リュリのオペラからの抜粋やクープランの室内楽、シャルパンティエの宗教合奏曲、大厩舎楽団の演奏家を多く輩出したフィリドール一族の作品など多岐にわたる演目。
この種の古楽器探求に優れた実績を示してきたエルザ・フランクとジェレミー・パパセルジオーをはじめとする名手勢が、芸術諸分野に通じたルイ14世を喜ばせた至芸を21世紀にありありと甦らせてくれる1枚です。
(ナクソス・ジャパン)

【曲目】
~プロローグ~
1. ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):
L’amour Malade - Ouverture pour le premier divertissement
序曲(《病は気から》第1ディヴェルティスマンより)

~王の起床~
2. フランソワ・クープラン(1668-1733): Second Prélude en do mineur
第2プレリュード ハ短調(『クラヴサン奏法』〔1716〕より)

3. クープラン: La Sultanne, Sonate en quatuor
四重奏ソナタ「ラ・スュルターヌ(トルコ太子の寵姫)」

~王の礼拝~
4. マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704): Ouverture pour l’église
教会[での礼拝]のための序曲 H 524

5. アンドレ・カンプラ(1660-1744): Caeli enarrant gloriam
神は天の栄光を宣言し(ラテン語旧約聖書『詩篇』第20篇/モテ集第5巻〔1720〕より)

~王のための音楽会~
6-10. クープラン: Onzième Concert
コンセール 第10番

11. アントワーヌ・ドルネル(1680-1765): Sonate en quatuor
四重奏ソナタ(『器楽合奏曲集 第2巻』〔1709〕より)

~王宮での舞踏会の音楽~
12. アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652-1730): Marche du Roy de la Chine
中国の王様の行進曲

13. マラン・マレ(1656-1728)/フィリドール編: Gigue ensuite 結びのジグ

14. マレ: Gavotte en rondeau ロンド式ガヴォット(『トリオによる作品集』〔1692〕より)

15. ミシェル・ド・ラ・バル(1675頃-1745): Canarie カナリー(『トリオ集 第1巻』〔1694〕より)

16. マレ: Rigaudon リゴードン(『トリオによる作品集』〔1692〕より)

17. ド・ラ・バル: Menuets ムニュエ(メヌエット/『トリオ集 第1巻』〔1694〕より)

18. リュリ/ロベール・ド・ヴィゼー(1650/65頃-1732以降)編:
Chaconne des Scaramouches, Trivelins et Arlequins
スカラムーシュ、トリヴェラン、アルルカン〔=道化たち〕のシャコンヌ(《町人貴族》より)

19. フィリドール: Marches vertes 緑の行進曲

20. フィリドール: Contredance コントルダンス(「2声の低音部のための組曲」〔1700〕より)

21. ピエール=ダニカン・フィリドール(1681-1731): Premier & Second Passepieds
第1&第2パスピエ(『第1曲集』〔1717〕より)

~王の就寝~
22-24. ジャック=マルタン・オトテール(1673-1763): Deuxième Suite en do mineur
第2組曲 ハ短調(『フラウト・トラヴェルソのための曲集 第2巻』〔1715〕より)

26. リュリ: Air de Protée ‘Heureux qui peut voir du rivage’
プロテーのエール「かの岸を目にする者の幸せさよ」(《ファエトン》より)

27. ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726): Quatuor
四重奏曲(『王の晩餐のための合奏曲集』より)

【演奏】
シンタグマ・アミーチ(古楽器使用)
エルザ・フランク(オーボエ、ターユ・ド・オーボワ〔=中音域オーボエ〕、リコーダー)
ソフィー・ルブレイェン(オーボエ、リコーダー、指揮)
アナイス・ラマージュ(バスーン、リコーダー)
ジェレミー・パパセルジオー(バスーン、バス・ド・クロモルヌ、リコーダー、フラジオレット、指揮)
エレーヌ・ウゼル(ヴァイオリン、ターユ・ド・ヴィオロン〔=ヴィオラ〕)
マノン・パパセルジオー(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕、ドゥシュ・ド・ヴィオール〔=ディスカント・ガンバ〕、小型バス・ド・ヴィオロン)
ガブリエル・リニョル(テオルボ、バロックギター、シェレンバウム)
ブリス・サイー(クラヴサン〔チェンバロ〕、オルガン)
ロマン・ボクレール(バリトン)…5、26

【録音】
2022年10月 サンテーユ聖母教会、 シラン(フランス南部ラングドック地方エロー県)

収録時間: 79分

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2024年01月17日 00:00