フュジェ&レゼポペー(声楽&古楽器アンサンブル)/リュリ:テ・デウム、詩篇第19篇
一体感と自発性。ヴェルサイユに集う本場最高峰の古楽奏者勢が聴かせるリュリの至芸
21世紀のフランス古楽界で実力ある音楽家たちと信頼関係を深めながら、声楽指揮者として着実に存在感を高めてきたステファーヌ・フュジェ。
Château de Versailles Spectaclesレーベルでは太陽王ルイ14世の王室音楽総監督リュリが残したグラン・モテ(大規模な器楽合奏と合唱で演奏される教会音楽)の体系的録音を進めてきましたが、第4作となる今回のアルバムでは王室祝賀行事など晴れがましい場面で愛奏される、リュリの傑作『テ・デウム』(リュリはこの作品の演奏中拍子をとる杖で自らの足を傷つけ、これが元となり2か月後に亡くなりました)を中心とする選曲が見逃せません。
華やかな金管の吹奏で始まる冒頭部(少し後にシャルパンティエも同種の傑作でこの手法を踏襲しています)が印象的なこの作品の演奏に際し、フュジェはその頃の習慣を踏まえてルイ14世の入場を暗示するティンパニとトランペットを使った当時の祝典音楽でアルバムを開始。
レザ―ル・フロリサンやレ・タラン・リリクなど古楽シーン最前線の楽団を支えてきた名手マリー=アンジュ・プティの鮮烈な撥捌き、野趣と気高さを兼ね備えたマドゥーフ兄弟らのナチュラル・トランペットの吹奏が導くリュリ作品の解釈は緩急自在、後続の詩篇第19篇と共に細部まで深い味わいをよく引き出してやみません。
総勢50に上る合唱はヴェルサイユ・バロック音楽センターの合唱団に加え、フュジェの楽団レゼポペーのソリストたちが小合唱を構成。こちらもクレール・ルフィリアトルやシリル・オヴィティなど実力派が揃い、24人の弦楽器奏者に多くの管楽器奏者と鍵盤・撥弦各2名が加わる器楽勢と共に、いかなる局面でも精緻な音作りで自発性豊かな演奏を聴かせてくれます。
(ナクソス・ジャパン)
[解説・歌詞日本語訳付き]
※国内仕様盤 解説・歌詞日本語訳…白沢達生
【曲目】
ジャック・ダニカン・フィリドール(1657-1708)通称「若きフィリドール」:
1. 若きフィリドールによるティンパニの行進曲
アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652-1730):
2. 王の行進曲(トランペットとティンパニ)
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):
3-17. テ・デウム LWV 5518-25. グラン・モテ「苦難の最中、主があなたの声に耳を傾けますように」(詩編第19篇)LWV 77-15
【演奏】
レゼポペー(声楽&古楽器アンサンブル)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団、同少年合唱団
ステファーヌ・フュジェ(指揮)
【録音】
2023年3月6-10日、ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
収録時間: 68分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2024年01月25日 00:00