リュシル・ブーランジェ『17世紀と21世紀を行き交うヴィオラ・ダ・ガンバの肖像』~ヴィオラ・ダ・ガンバの無伴奏作品集!
フランス・ヴィオール音楽の精髄に触れる温故知新のプログラム
フランス語ではヴィオールと呼ばれ、ブルボン王朝時代の同国を象徴する楽器として愛され続けたヴィオラ・ダ・ガンバ。生まれて初めて学んだのがこの楽器だったというフランス古楽器演奏シーンの申し子リュシル・ブーランジェは今回、その黄金時代とも言うべき17世紀に活躍した名匠4人の無伴奏作品を厳選。エルサン、ペソン、シニュベールと世代の異なる現代作曲家たちの新作(ライナーノートに各作曲家自身による解説も仏、英、独語で掲載)を組み合わせ、使者のごとく17世紀と21世紀を行き来しながら、この楽器の本質と可能性を鮮やかに引き出す無伴奏アルバムを作り上げました。
気負いを感じさせない自在な音作りで綴られながら、一貫して端正な様式感に貫かれたバロック作品群の傍ら、ヴィオラ・ダ・ガンバを通じて描き出しうる音響表現を多面的に活かした21世紀作品の数々は「響きに耳を澄ます」という鑑賞体験をより明敏にし、交互に演奏される17世紀音楽とその解釈に秘められた繊細な機微にも改めて気づかされます。
画家カラヴァッジョに関する映像のためモンテヴェルディの『オルフェオ』に基づき作曲されたエルサン作品、リュシル・ブーランジェに捧げられ彼女の愛奏曲となったシニュベールの独奏曲、アルバム発売年に仕上がったペソンの最新委嘱作と、突飛な表現に走らない現代の古楽器音楽の味わい深さに気づかされ、同時にフランス・バロックの奥深さや各作曲家の作風の本質をより深く味わえる充実のプログラムを、
ALPHAレーベル初期からの名技師アリーヌ・ブロンディオが細やかな感性で克明に収録した好アルバムです。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
1-6. サント=コロンブ氏(1640頃-1700頃):組曲 ニ短調(トゥルニュ写本〔1690頃〕より)
1. Prélude プレリュード
2. Allemande アルマンド
3. Courante et son double クラントとドゥーブル
4. Sarabande サラバンド
5. Gavotte ガヴォット
6. Chaconne シャコンヌ
7. フィリップ・エルサン(1948-): L’ombre d’un doute : I. Fanfare ファンファーレ(『ある疑惑の影』〔2008〕より)
8. クレール=メラニー・シニュベール(1973-): La Dame d’onze heures 11時の貴婦人 〔2022〕
9. エルサン: L’ombre d’un doute : II. La Messagère 女使者(『ある疑惑の影』より)
10-14. ニコラ・オトマン(生年不詳-1663): 組曲 ニ短調(クラクフ写本より)
10. Prélude de Sieur Dubuisson デュビュイソン氏のプレリュード
11. Ballet 舞踏曲
12. Courante et ses variations クラントと変奏
13. Sarabande et sa variation サラバンドと変奏〔ドゥーブル〕
14. Gigue et ses variations ジグと変奏
15. マラン・マレ(1656-1728): L’Arabesque アラベスク(『ヴィオール曲集 第4巻』〔1717〕より)
16. エルサン: L’ombre d’un doute : III. Les ombres 亡霊たちの影(『ある疑惑の影』より)
17. ジェラール・ペソン(1958-): La Fugitive 捉え得ぬ女〔2024〕
18. エルサン: L’ombre d’un doute : IV. La Harpe d’Orphée オルフェオの竪琴(『ある疑惑の影』より)
19-24. ドマシー氏(生年不詳~1692)&マレ: 組曲 ト短調
19. Prélude ドマシー氏: プレリュード(『ヴィオール曲集』〔1685〕より)
20. Allemande マレ: アルマンド(『ヴィオール曲集 第1巻』〔1686〕より)
21. Sarabande マレ: サラバンド(『ヴィオール曲集 第1巻』〔1686〕より)
22. Gigue マレ: ジグ(『ヴィオール曲集 第1巻』〔1686〕より)
23. Gavotte ドマシー氏: ガヴォット(『ヴィオール曲集』〔1685〕より)
24. Menuet ドマシー氏: ムニュエ〔メヌエット〕(『ヴィオール曲集』〔1685〕より)
25. エルサン: L’ombre d’un doute : V. Les Esprits 精霊たち(『ある疑惑の影』より)
26-27. マレ: 組曲 ニ長調(『ヴィオール曲集 第1巻』〔1686〕より)
26. Prélude プレリュード
27. Chaconne シャコンヌ
【演奏】
リュシル・ブーランジェ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
使用楽器: ハンブルクのヨアヒム・ティールケ1699年製作モデルによるベルギーのフランソワ・ボダール2006年製作の再現楽器(作品により6弦または7弦を張り演奏)
弓: ルイス・エミリオ・ロドリゲス・カリグトン製作
【録音】
2024年1月 ベギン会修道院教会、シント・トライデン(ベルギー)
2024年4月 ジュヴィニ聖母教会、 ジュヴィニ(フランス東部シャンパーニュ地方マルヌ県)
収録時間: 77分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2024年08月14日 00:00