WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.302
ルー・ドナルドソン『ミッドナイト・クリーパー』(1968)
ルー・ドナルドソン(as)
ブルー・ミッチェル(tp)
ロニー・スミス(org)
ジョージ・ベンソン(g)
レオ・モリス(イドリース・ムハマッド)(ds)
1968年3月15日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.ミッドナイト・クリーパー
02.ラヴ・パワー
03.エリザベス
04.バッグ・オブ・ジュエルズ
05.ダッパー・ダン
【アルバム紹介】
1.名アルト・サックス奏者ルー・ドナルドソンのファンキーなアルバム
2.傑作『アリゲーター・ブーガルー』の翌年にレコ―ディングされた一枚
3.ギターにジョージ・ベンソン、オルガンにロニー・スミスが参加
前回に続き、60年代後半のブルーノート名盤を取り上げます。
今回は1950年代から1970年代にいたる間、ブルーノート・レーベルに多くのリーダー・アルバムを残した名アルト・サックス奏者ルー・ドナルドソンのアルバムを取り上げます。
まったくの偶然ではありますが、この記事を取り上げようとした際、ルー・ドナルドソンの訃報が飛び込んできました。2024年11月9日にお亡くなりになられたようです。98歳でした。心よりお悔やみを申し上げます。
思えばルー・ドナルドソンといえば、イメージとして思い浮かぶのがソウル・ジャズの路線。そのブルーノートのアルバム中、1967年の『アリゲーター・ブーガルー』がそんな象徴の一枚と言えますが、本作はその翌年にレコーディングされたもので、メンバーもトランペットを除いて、『アリゲーター・ブーガルー』と同じ顔触れとなっています。
メンバーはトランペットが名手ブルー・ミッチェル、オルガンが第一人者ロニー・スミス、ギターはこの頃ジャズ・ギタリストとして名を馳せていたジョージ・ベンソン、ドラムスが後々クロスオーバー・シーンでも活躍するレオ・モリス(イドリース・ムハマッド)。
楽曲は1曲目、3曲目がルー・ドナルドソンのオリジナル、4曲目がロニー・スミスのオリジナルで、2曲目はR&B系のソングライター、テディ・ヴァンの作、そして、5曲目はシカゴ生まれのテナー・マン、ハロルド・オーズリーの作で構成されています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ファンキーなソウル・ジャズ・ナンバー“ミッドナイト・クリーパー”。
ソウル・ジャズ系のアルバムゆえ、アルバム全体、どの曲にも共通して流れるファンキーなフィーリングがなんともいえません。中でもこの1曲目はタイトル・チューンだけに、際立ったテイストにあふれています。
曲は小粋なファンキー・グルーヴの上で、イケイケなテーマ・メロディが奏でられて始まります。最初にソロをとるのはルー・ドナルドソンのアルト・サックス。続いて、ジョージ・ベンソンのギター。それを受けてブルー・ミッチェルのトランペットが唸り、ソロの最後はロニー・スミスのオルガン。エンドレスでずっと演奏していられそうな、そんなノリが絶品です。
90年代の初め頃、レア・グルーヴといいますか、ソウル・ジャズの人気が高まった時期がありましたが、その気運の中で、再評価されたファンキー・ドラマー、バーナード・パーディのバンドで、ベースのチャック・レイニー、ギターのデイヴィッド・T・ウォーカーらとともに来日したメンバーの中にルー・ドナルドソンの姿があったのを思い出します。アーチー・ベル&ザ・ドレルズ、マーヴィン・ゲイ、ジェームズ・ブラウンのナンバーに交じって、ルー・ドナルドソンの代表曲“アリゲーター・ブーガルー”も披露されたのが印象に残っています。
国内盤UHQCD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2024年11月15日 10:00