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女子大学の日常を綴った映画『ネムルバカ』が今春公開!日常系だけじゃない、原作者・石黒正数の“SF力”

代表作「それでも町は廻っている」や、現在連載中の「天国大魔境」で知られる漫画家・石黒正数。今年春に公開予定の映画『ネムルバカ』は、女子大学生2人の日常を切り取った青春譚だ。映画公開に先駆けて、日常系はもちろんSF物でも輝く石黒作品の魅力に迫ってみよう。


●“日常系”と“SF”の振り幅が楽しめる石黒作品
「ネムルバカ」は、2008年に刊行された全1巻の漫画作品。大学女子寮で同室の、先輩と後輩の日常が描かれている。先輩はバンドに打ち込む一方で、後輩は自堕落に古本屋でバイトをする毎日。ストーリーに大きな起伏はないものの、大学生ならではの焦りや苦悩は、誰もが通ってきた青春の日々そのもの。「淡々としてるけど染みる空気感」「何気ない日常が懐かしく心にグッとくる」など、ストーリーや台詞、心理描写の良さを推す声が多い。

映画では、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで殺し屋の日常を描いた阪元裕吾が監督を務める。『ベイビーわるきゅーれ』とはジャンルが異なるものの、日常とアクションのギャップを描いて高い評価を得た坂元監督だけに、期待の声も大きい。

原作の石黒は、日常系の名手としても有名だ。代表作の「それでも町は廻っている」は、アニメ、ドラマにもなった日常系の金字塔。「それ町」は下町に住む女子高生の日常を描いた作品だが、実は宇宙人や幽霊といったSF的な要素が散りばめられている。さらに時系列もシャッフルされているなど普通の日常系とはひと味違っており、2018年には優秀なSF作品に贈られる「星雲賞」を受賞。SF作品としても高く評価されている。

そんな石黒が現在連載している「天国大魔境」は、文明崩壊後の日本を生きる少年少女を描いた作品。石黒があえて“「それ町」っぽくないマンガ”を描きたいという考えからスタートし、SF要素の強いストーリーを展開している。2つの世界を行き来する作品構造や、随所に張り巡らされた伏線・謎もSF好きから評価が高い。「天国大魔境」は「このマンガがすごい!」2019年オトコ編では第1位を獲得している。

2つの世界があり多くの謎を孕む「天国大魔境」には難解な部分もあるが、書籍「天国大魔境公式コミックガイド「天国」の秘密と「魔境」の歩き方」では、同作のストーリーや謎を振り返ることができる。作品考察やキャラクターの設定資料集も掲載されており、作品の入門にも最適だ。緻密に練られた作品世界を紐解くことで、日常系だけではない石黒の“SF力”の高さにも触れることができるだろう。

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年01月31日 21:30

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